常磐線[JR東日本]

品川駅に停車する常磐線特急「ときわ」(2019年1月)

常磐線は、日暮里~岩沼間343.7キロを結ぶJR東日本の路線であり、列車運行上は東北本線に所属する上野~日暮里間と岩沼~仙台間を含めた上野~仙台間363.5キロを走ります。さらに、2015年(平成27年)に開業した上野~東京間と上野~品川間(上野東京ラインとして運行される区間)を含めて「常磐線」と呼ぶ場合もあります。

常磐線は、2011年(平成23年)の東日本大震災により大きな被害を受け、一部区間で不通が続いていましたが、2020年(令和2年)に約9年ぶりに運行を再開しました。不通区間の中でも、富岡~浪江間は福島第一原子力発電所の事故によって多大なる影響を受け、最後まで不通となっていました。不通となっていた期間は、富岡~浪江・原ノ町間においては列車代行バスが運行されていました。

竜田駅に停車する列車代行バス(2017年1月)

 

特急「ひたち」19号「仙台行き」(2020年3月)

 

 

 

 

久しぶりの運転再開にあたり普通列車11往復に加えて、特急「ひたち」品川上野~仙台間を3往復することになりました。

 

「仙台行き」の表示が見える東京駅の表示板(2020年3月)


常磐線の歴史と上野東京ライン

常磐線の歴史は1889年(明治22年)、水戸鉄道が水戸~小山間を開業したことにはじまります。このとき、現在の常磐線内の駅となる水戸駅、内原駅が開業しています。この区間は1892年(明治25年)、水戸鉄道から日本鉄道へと譲渡され、日本鉄道の支線(現在の水戸線)となりました。

 

特急「ときわ」特急券

 

1895年(明治28年)になると、日本鉄道水戸線の友部駅を開業した後、土浦~友部間を開通させ、土浦駅、神立駅、高浜駅、石岡駅、岩間駅を開業しました。さらに、1896年(明治29年)には土浦~田端間を開通させて、南千住駅、北千住駅、松戸駅、柏駅、我孫子駅、取手駅、藤代駅、牛久駅、荒川沖駅を開業しています。その後、水戸駅から北の区間も徐々に延伸し、1898年(明治31年)には中村~岩沼間を開業し、常磐線の全通となりました。そして、1905年(明治38年)に日暮里~三河島間が開業して、現在の常磐線と同じルートになりました。


常磐線特急「ひたち」と「ときわ」

E657系はJR東日本の交直流特急型車両であり、2012年(平成24年)に営業運転を開始しています。常磐線特急651系およびE653系の置換用として投入されました。

 

常磐線特急として運行されるE657系(2019年1月)

 

特急「ひたち」および特急「ときわ」にかかわらず、すべての常磐線特急がE657系で運行されています。上野東京ラインの開通により常磐線特急品川発着による運行となりました。

 

品川駅の常磐線ホーム階段(2019年1月)

 

これまでの常磐線特急は、速達型が「スーパーひたち」、停車型が「フレッシュひたち」として運転されてきましたが、上野東京ライン開通後、それぞれ特急「ひたち」・特急「ときわ」として運行されることになりました。

 

9年ぶりに復活した特急ひたち「仙台行き」(2020年3月)

 

列車名の「ときわ」は久しぶりの復活ということになります。「ときわ」は1955年(昭和30年)に上野~水戸間を運行する快速列車としてデビューしました。

 

 

 

1958年(昭和33年)には準急列車に昇格して運転区間を上野~平(現在のいわき)間に延長し、1966年(昭和41年)になると急行列車に昇格します。

 

品川駅に停車する「ときわ64号」(2019年1月)

 

ところが、1969年(昭和44年)より上野~平間を運行するようになった特急「ひたち」(季節列車)がその後、徐々に運行本数を増やして成長し、1985年(昭和60年)に急行「ときわ」は特急「ひたち」に吸収される形で、定期列車としての運行を終了しました。

 

品川駅に停車する特急「ときわ」(2016年12月)


常磐線を走る車両

E531系はJR東日本の交直流一般形電車であり、403系および415系の老朽化にともない、その置換用として投入されたものです。

 

竜田駅に停車するE531系(2017年1月)

 

また、常磐線と競合するつくばエクスプレスへの対策として運転速度性能を向上しています。701系はJR東日本の交流用電車であり、1992年(平成4年)に登場しています。JR東日本における東北本線、奥羽本線、羽越本線、津軽線、田沢湖線、常磐線仙山線の他、IGRいわて銀河鉄道、青い森鉄道でも見ることができます。仙台周辺および福島県におけるラインカラーは赤と緑が配されています。

 

常磐線浪江行き(2017年8月)


金町駅

金町駅(2021年9月)


我孫子駅

我孫子駅(2021年6月)

成田線(2021年6月)


取手駅

取手駅(2021年6月)

取手駅始発「上野行き」(2021年5月)


牛久駅

牛久大仏(2021年11月)

上野東京ライン・常磐線直通列車(2019年1月)


平駅からいわき駅へ

いわき駅は1994年(平成6年)に「平(たいら)」という駅名より改称されたものですが、もともと平駅としての開業は1897年(明治30年)に遡ります。平は、平安時代末期から戦国時代までは岩城氏の本拠地として栄え、江戸時代には磐城平藩の城下町として栄えました。明治時代になると東北地方の工業地帯の中心都市として発展し、現在においてもいわき市の中心として最大の商業地域として栄えています。

 

東京駅に停車する特急「ひたち」(2020年3月)

 

平町は1937年(昭和12年)に平市となり、1966年(昭和41年)に平市の他13市町村と大合併していわき市が誕生しました。当時、いわき市の面積は日本一となり「日本一広い市」として全国に存在感を示しました。2003年(平成15年)にその面積は静岡市に抜かれて「日本一広い市」ではなくなり、その後もその順位を大きく下げることになりましたが、現在でも仙台市に次いで東北地方で2番目に人口の多い都市としてその名を知られています。いわき市誕生にともなってその駅名を改称しようとする動きもありましたが、しばらくは「平駅」と名乗り続けることになりました。その間も「平」の名は常磐線特急の行先として東京でもよく知られる名前であり続けましたが、いわき市誕生から28年後の1994年(昭和41年)にようやく「いわき駅」へと改称することになります。

 

常磐線特急の車内(2020年3月)


平成時代最後の新駅「Jヴィレッジ駅」

Jヴィレッジ駅は2019年(平成31年)、広野~木戸間に平成時代最後の新駅(臨時駅)として開業しました。「Jヴィレッジ」の名は1997年(平成9年)に開設されたスポーツ施設の名称であり、2011年(平成23年)の東日本大震災による福島原発事故における廃炉作業の対応拠点として使用されていました。2020年(令和2年)に臨時駅から常設駅に昇格しています。

 

竜田駅に停車する列車代行バス(2017年1月)