阪神西宮駅と西宮神社

▼西宮駅は1905年(明治38年)に阪神本線の開通と同時に開業。▼「西宮駅」の正式名称は「西宮駅」だが、阪急電鉄の西宮北口駅やJR線の西宮駅(以前は「西ノ宮駅」)と区別するため「阪神西宮」または「西宮駅」などと呼称されます。

 

西宮駅(2019年2月)

 

西宮市は兵庫県においては神戸市、姫路市に次ぐ都市であり、えびす神社の総本社となる「西宮神社」の門前町として栄えてきました。


えびす神社の総本社「西宮神社」

西宮神社は全国のえびす神社の総本社ですが、阪神電気鉄道の西宮駅がその最寄り駅となり、そこから徒歩5分ほどの場所にあります。

 

西宮駅(2019年2月)

 

創建時期は不明ですが、平安時代末期にはすでに高倉上皇のご奉幣をはじめ皇族神祇伯の参拝がきわめて盛んであったといいます。

 

西宮神社(2019年2月)

 

えびす様はもともと神戸和田岬の沖で出現され、鳴尾の漁師がお祀りしていました。西の方に宮地があるとのご神託により、この地に来られたとの言い伝えがあります。古くより漁業の神として信仰されており、西宮のまちの発展とともに商売繁盛の神として広く知られるようになります。

 

西宮神社前のえべっさん筋(2019年2月)

 

特に、中世以降には福の神と崇める信仰が盛んとなって、傀儡師の活動、謡曲や狂言を通じて社勢が広まっていきました。また、徳川時代以降には商業の発展にともない、海上守護神商売繁盛の神として広く知られるようになり、現在では全国各地から多くの人々の崇敬を受けています。

 

西宮神社境内図(2019年2月)

 

毎年1月9日から11日の十日えびすには百万人にもおよぶ参拝者が訪れます。本えびすの10日午前0時には神門を閉じて、神職は忌籠(いごもり)を厳修します。午前6時の表大門の開閉とともに走り参りを行う風習があり、福男が選ばれます。

 

福男選びの案内板(2019年2月)

 

表大門は豊臣秀頼による寄進と伝えられており、表大門の左右にある大練塀(おおねりへい)は国の重要文化財とされています。また、えびすの森は兵庫県の天然記念物に指定されています。

 

表大門(2019年2月)

 

表大門は東側練塀の南寄りにあり、旧街道に向かって東面して立ちます。全体が赤く丹塗りされていることから「赤門」として親しまれてきました。2本の円柱を本柱とし、4本の角柱を控柱とする四脚門(よつあしもん)となっており、全体の構造はそれぞれの柱を貫材および虹梁を用いてつなぐ簡素なつくりとなっています。

 

表大門(2019年2月)

 

大練塀は、境内を取り囲む築地塀のうち東面および南面に築かれている全長247メートルの練塀であり、室町時代初期以前に建てられたと推定される現存最古の築地塀です。

 

大練塀(2019年2月)

 

この塀は、京都三十三間堂の太閤塀と名古屋熱田神宮の信長塀と並んで三大塀の一つとされますが、その規模の大きさおよび構造の堅牢さにおいて他に類を見ない貴重なものとなっています。

 

大練塀(2019年2月)

 

嘉永橋(かえいばし)は境内に残る最も古い石造の桁橋であり、六甲山産の花崗岩を用いて作られています。

 

嘉永橋(2019年2月)

 

1848年(嘉永元年)に神池の西側中央部に架けられたものであり、境内社松尾神社への参道上に位置しています。敷石の上に石製欄干を組み、両橋詰に袖高欄を付しており、2013年(平成25年)に国の登録有形文化財となっています。

 

神池(2019年2月)

 

瑞寶橋(ずいほうばし)は拝殿正面に位置する石造の太鼓橋であり、六甲山産の花崗岩を用いて作られています。

 

瑞寶橋(2019年2月)

 

円弧状の桁石の上を十七等分して敷石を割り付け、青銅製の欄干を備えた丁寧なつくりとなっています。

 

瑞寶橋(2019年2月)

 

境内中央に配された神池に架かっており、2013年(平成25年)に国の登録有形文化財となっています。

 

瑞寶橋(2019年2月)