神田川沿いの江戸川公園と江戸川橋駅

1.江戸川橋駅と神田川 2.神田上水(神田川) 3.江戸川公園

 

神田川沿いの江戸川公園(2020年9月)


江戸川橋駅と神田川

江戸川橋駅は地下鉄有楽町線の駅であり、1974年(昭和49年)に開業しました。

 

江戸川橋駅駅名標(2020年9月)

 

「江戸川橋」の名は、江戸川橋駅開業の少し前1971年(昭和46年)までこの場所を走っていた路面電車の停留所名を継承したものです。「江戸川橋駅」の「江戸川」というのは関宿(千葉県野田市)付近で利根川と分かれて、江戸川区から東京湾へ注ぐ江戸川ではなく、江戸川橋駅の付近を流れる「神田川」の旧称であり、「江戸川橋」はその神田川に架かる橋のことです。

 

神田川沿いの風景(2020年9月)

 

この川は、江戸時代には「御留(おとめ)川」とよばれていましたが、その後1965年(昭和40年)までは「江戸川」とよばれました。

 

神田川沿いの風景(2020年9月)

 

この川は昔からたびたび洪水を引き起こし、1910年(明治43年)の大洪水の後に大井玄洞(げんどう)は治水工事に着手します。治水工事は1919年(大正8年)に完成し、人々はこの治水工事の業績を称えて、1928年(昭和3年)に江戸川公園の入口に大井玄洞の銅像を建てました。

 

大井玄洞の銅像(2020年9月)


神田上水(神田川)

飲料用として河川や池などから引いた清水を上水とよびますが、神田上水(神田川)は徳川家康に命じられて大久保藤五郎が開いたものであり、水源は井の頭池に発します。

 

江戸川公園(2020年9月)

 

現地には明治39年頃、近辺の見事な夜桜と船から花見を楽しむ様子を描いた山本松谷の画が掲示されています。この風景は大正時代末期の護岸工事により失われてしまいました。

 

江戸川の夜桜の画(2020年9月)


江戸川公園

江戸川公園はこの神田川沿いにある東西に細長い公園です。

 

江戸川公園(2020年9月)

 

1983年(昭和58年)には神田川に沿ってソメイヨシノが植林され、かつての工事で失われた桜の風景を現在も楽しむことができるようになりました。

 

江戸川公園(2020年9月)

 

園内の「関口芭蕉庵」は神田上水の改修工事に携わった松尾芭蕉が住んだ「龍隠庵」だったものです。「関口」の名は、かつてこの辺りに奥州街道の関所があったこと、また神田上水の分水のための大洗堰(おおあらいせき)があったことに由来します。目白通りからから下って関口芭蕉庵と水神社へ至る急坂は「胸突坂」(別名「水神坂」)とよばれます。

 

胸突坂(2020年9月)

 

江戸時代の人たちは、胸を突くようにしなければ上れないような険しい急坂「胸突坂」の名を付しています。水神社は神田上水が開かれてから関口水門を守る神として祀られてきたといわれています。

 

水神社(2020年9月)