草津線の歴史と草津線を走る車両

1.草津線の歴史 2.草津線の優等列車 3.SHINOBI-TRAIN 4.甲西駅 5.草津駅と草津川

 

甲西駅に停車する草津線の普通列車(2018年2月)


草津線の歴史

草津線は関西本線の柘植駅(三重県伊賀市)を起点とし、東海道本線(愛称「琵琶湖線」)の草津駅を終点とする全長36.7キロの路線です。草津線を走る列車はすべて各駅に停車する普通列車のみであり、その大部分は草津駅で折り返し運行する列車となります。朝夕や夜間には東海道本線(愛称「琵琶湖線」)との直通列車も運行されています。

 

草津線の車内(SHINOBI-TRAIN)に掲示される路線案内(2018年1月)

 

草津線の歴史は、関西鉄道が旧東海道沿いに大津~名古屋間を結ぶ路線敷設を計画したことにはじまり、1889年(明治22年)に草津~三雲間、1890年(明治23年)に三雲~柘植間が開業しています。

 

甲西駅北側の旧東海道の様子(2018年2月)

 

この路線は開業当初は関西鉄道の本線として設定され、京都と名古屋を結ぶ幹線の一部となっていました。ところが、1898年(明治31年)に名古屋~加茂間が関西鉄道の本線として設定されると、柘植~草津間は支線となってしまいました。1907年(明治40年)になると関西鉄道は国有化され、この路線は草津線と命名されました。


草津線の優等列車

1930年(昭和5年)には、参宮急行電鉄(現在の近畿日本鉄道)への対抗策として姫路~草津~柘植~鳥羽間を結ぶ快速列車の運転が開始されました。さらに、1961年(昭和36年)には準急「鳥羽」(京都~鳥羽間)と「勝浦」(京都~紀伊勝浦間)、1962年(昭和37年)には準急「平安」(京都~桑名・名古屋間)の運行を開始しました(「鳥羽」「勝浦」は後にそれぞれ「志摩」「くまの」と改称)。その後1966年(昭和41年)になると、これらの準急列車は急行列車へと格上げされました。ところが、これらの優等列車も国鉄時代の末期になると徐々に運行本数が減便され、1986年(昭和61年)には草津線内を走るすべての優等列車の運行がなくなりました。それ以来現在まで草津線では普通列車のみの運転となっています。

 

草津駅に停車する221系車両(2018年2月)

 

この普通列車には113系、117系、221系、223系が使用されています。

 

湖西線を走る113系車両(2017年3月)


SHINOBI-TRAIN(シノビトレイン)

草津線は滋賀県と三重県を結んでいますが、滋賀といえば「甲賀忍者」、三重といえば「伊賀忍者」が知られています。

 

夜の京都駅に停車するSHINOBI-TRAIN(2017年7月)

 

2つの有名な忍者の古里を結ぶ路線ということにちなんで、2017年(平成29年)よりラッピング列車「SHINOBI-TRAIN」を運行しています。

 

忍者をイメージしたSHINOBI-TRAIN(2018年1月)

 

その忍者をイメージさせる黒い車両には、刀を抜く忍者や手裏剣を投げたりする忍者が描かれています。

 

忍者をイメージしたSHINOBI-TRAIN(2018年1月)

 

SHINOBI-TRAIN」は草津線の他、湖西線でも走っているのを見ることができます。また、草津線の近くを走る信楽高原鐡道でも同じようなデザインの車両が運行されています。

 

「湖西線」と表示されるSHINOBI-TRAIN(2018年1月)

忍者をイメージしたSHINOBI-TRAIN(2018年1月)

SHINOBI-TRAINの車内の様子(2018年1月)

SHINOBI-TRAINの車内案内(2018年1月)


甲西駅

甲西駅は1981年(昭和56年)に開業した草津線の中では最も新しい駅であり、同年に開催されたびわこ国体に合わせて開業しました。

 

甲西駅駅舎(2018年2月)

甲西駅ホーム(2018年2月)


草津駅と草津川

「草津」というと、群馬県の草津温泉を思い出す方も多いですが、滋賀県にも草津市という自治体があります。草津駅は1889年(明治22年)に開業しています。

 

草津駅西出口の様子(2016年9月)

 

「草津」という地名は1299年(正安元年)に成立した『一遍上人絵伝』の中に、一遍上人が草津宿に滞在した出来事を記した文章に見られます。多くの物資が集散する場所を表す「クサグサとツ」、陸地にある津を表す「クサとツ」などの説があります。草津駅の近くには、すでに廃川となった旧草津川があります。草津川は天井川として名高いですが、天井川の歴史はそんなに古くありません。

 

廃川となった旧草津川(2016年9月)
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約200年前くらいまでは低いところを流れていましたが、急速に川床が上がった珍しい天井川といえます。

 

廃川となった旧草津川(2016年9月)
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明治時代ごろまでに、短期間で多くの土砂が流れ込み、川床が高くなっていきました。堤防をかさ上げすることを繰り返してきましたが、水害をもたらすことも多くあり、2002年(平成14年)に新しく作られた新川に切り替えがなされて、旧草津川は廃川となりました。

 

廃川となった旧草津川(2016年9月)
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草津駅東海道本線(愛称「琵琶湖線」)の新快速・快速停車駅ですが、その東海道本線や国道1号線も草津川の下を通っています。1886年(明治19年)に国道1号線のトンネル、1889年(明治22年)に東海道本線のトンネルが開通しています。