1.堺筋と堺筋線 Θ扇橋駅から扇町駅へΘ 2.阪急電鉄との相互直通運転 3.阪急千里線 Θ柴島駅と柴島神社Θ Θ北千里駅と自動改札機Θ 4.堺筋準急 5.66系車両 6.天下茶屋駅
「どうぶつ柄」がデザインされている堺筋線の車両(2017年8月)
堺筋と堺筋線
大阪では「筋(すじ)」とは南北に走る道のことをさします。大阪の「筋」には、地下鉄の路線名ともなっている四ツ橋筋、御堂筋、堺筋、谷町筋などがあります。「筋」に対して、東西に走る道は「通(とおり)」と名付けられています。こちらも地下鉄の路線名ともなっている中央大通、長堀通、千日前通などがあります。
阪急千里線へ直通する地下鉄堺筋線の車両(2018年7月)
堺筋は天神橋(大阪市北区)から天下茶屋(大阪市西成区)へ至る約6キロほどの幹線道路であり、大阪市の中心を南北に走ります。このうち、天神橋から日本橋(にっぽんばし)に至るまでの間は、全5車線とも車の通行は北行きの一方通行となっています。
地下鉄堺筋線66系車両(2017年1月)
堺を通って和歌山へ至る紀州街道に通じていて、江戸時代に船場から堺へ向かう道であったことから「堺筋」という名が定着したといわれています。大正時代には三越、高島屋、松坂屋、白木屋という百貨店があり、たいへんにぎやかなメインストリートでした。
扇橋駅から扇町駅へ
扇町駅は1969年(昭和44年)、地下鉄堺筋線の開通と同時に開業しています。地下鉄が開通する以前、この地を大阪市電の天神橋西筋線が通っていましたが、当時の駅名は扇橋駅と称していました。
扇町駅地下道入口(2018年7月)
扇町駅近くにある阪神高速12号線(守口線)および扇町バイパスとなっている部分には堀川(天満堀川)という運河がありました。この運河は1968年(昭和43年)にほぼすべてが埋め立てされていますが、この川に扇橋という名の橋が架かっていました。大阪市電の扇橋駅の名はこの橋の名をその由来としています。
扇町駅ホーム(2017年11月)
扇町という名が登場するのは、1924年(大正13年)に北扇町、南扇町、東扇町、西扇町が誕生したことによります。現在では扇町公園のある一帯が扇町となっており、扇町通の南側が南扇町となっています。
扇町交差点(2018年7月)
現在では、この堺筋の下を地下鉄堺筋線のほぼ全区間が敷設されており、天神橋筋六丁目~天下茶屋間を結んでいます。地下鉄堺筋線は1969年(昭和44年)に天神橋筋六丁目~動物園前間が開業したことにはじまりますが、1993年(平成5年)に動物園前から天下茶屋まで延伸され全通となりました。
扇町駅ホーム(2018年7月)
阪急電鉄との相互直通運転
堺筋線は1969年(昭和44年)の開業時から阪急千里線および京都本線との相互直通運転を行っています。
天下茶屋駅に停車する阪急電鉄の車両(2016年10月)
当初は南海電気鉄道と乗り入れをするかどうかで議論されたりしましたが、結果的に阪急電鉄と相互乗り入れをすることになりました。
天下茶屋駅行先案内板(2017年1月)
このため、堺筋線の駅で電車待ちをしていると、地下鉄の車両ではなく阪急電鉄の車両に遭遇することはまったく珍しいことではありません。
地下鉄堺筋線を走る阪急電車の車両内の様子(2016年10月)
阪急千里線
京都本線の一部となる千里線は、堺筋線と接続する天神橋筋六丁目から北千里までの間を結んでいます。
柴島駅から淡路駅方面を臨む(2017年1月)
柴島駅と柴島神社
柴島駅は1925年(大正14年)、新京阪鉄道の天神橋(現在の天神橋筋六丁目)~淡路駅間延伸と同時に設置されています。
柴島駅東側(2017年1月)
1930年(昭和5年)に京阪電気鉄道の新京阪線(現在の京都本線)、1943年(昭和18年)に京阪神急行電鉄(現在の阪急電鉄)の駅となります。
柴島駅から淡路駅方面を臨む(2017年1月)
その後、1949年(昭和24年)に京都本線、1959年(昭和34年)に千里山線(現在の千里線)、1967年(昭和42年)に千里線の駅となります。柴島駅を出て東へ歩いて行くと柴島神社があります。1232年(貞永元年)には付近は洪水に襲われたといいます。
柴島神社西側(2017年1月)
人々が高台へ避難したところ、小さな社が漂着してきたので、それを祀ったのが柴島神社のはじまりです。1901年(明治34年)にその社の地は淀川改修工事により河川敷となったので、現在の地に移転しました。
柴島神社東側(2017年1月)
北千里駅と自動改札機
千里線の終点となる北千里駅は1967年(昭和42年)に開業した駅であり、当時の千里山線(現在の千里線)はこのとき千里線と改称され、新千里山駅は南千里駅と改称されています。北千里駅には開業当初より自動改札機が設置されましたが、これが日本初の自動改札機の誕生となりました。これが契機となり、関西私鉄では関東よりもいち早く自動改札機の導入が一般化されることとなりました。
堺筋準急
2007年(平成19年)より堺筋準急の運転が開始されており、堺筋線の駅では「準急河原町行き」の電車を見ることができます。地下鉄堺筋線内では準急はすべての駅に停車します。過去には堺筋快速急行や堺筋急行が運行されていたこともあります。
天神橋筋六丁目を出発する準急「河原町行き」(2017年1月)
66系車両
堺筋線では、1990年(平成2年)より66系車両が使用されています。
ビビッドブラウンの66系車両(2017年1月)
従来の60系車両は1970年(昭和45年)に鉄道友の会ローレル賞を受賞した車両ですが、この車両は非冷房車でした。
阪急電車の車両から見た66系車両(2016年10月)
1985年(昭和60年)に阪急電鉄の車両が全車冷房化されたにもかかわらず、60系車両には冷房機能が搭載されていなかったため、夏の堺筋線内では阪急電鉄の車両を待つという光景が見られたといいます。
66系の車内の様子(2017年1月)
2015年(平成27年)からは66系リフレッシュ車両を運行しています。堺筋線内に動物園前駅があることにちなんで、に「どうぶつ柄」をデザインしたり、運転室や連結部のガラスにはゾウやサルなどの動物の絵が描かれたりした車両に遭遇することもあります。
扉に「どうぶつ柄」がデザインされている車両(2017年8月)
天下茶屋駅
天下茶屋は現在でも大阪らしい町並みを残す場所の1つです。千利休の師である武野紹鴎(じょうおう)が茶室を構えて隠棲した歴史的な場所でもあります。豊臣秀吉はこの茶室に立ち寄り、よく茶の湯を楽しんだともいいます。これより「殿下茶屋」が「天下茶屋」となったともいわれています。
天下茶屋駅駅舎(2016年10月)
天下茶屋駅には堺筋線の他、南海電気鉄道も乗り入れています。徒歩で移動できる範囲内に阪堺電気軌道の駅もあります。
天下茶屋駅駅舎(2016年10月)