神戸高速鉄道の設立と新開地駅

1.神戸高速鉄道の設立 2.東西線と南北線 3.新開地駅 4.高速神戸駅と湊川神社

 

神戸高速鉄道新開地駅の時刻表(2019年2月)


神戸高速鉄道の設立

神戸市中央区に本社を置く神戸高速鉄道第三種鉄道事業者であり、第三セクターの鉄道会社として設立されましたが、現在では阪急阪神ホールディングスの一員となっています。

 

阪神電車の車両(2016年10月)

 

一般的に、鉄道という場合には第一種鉄道事業をさしますが、これは線路を所有し、線路を所有している鉄道会社がその路線の列車を運行する形態をいいます。たとえば、JR各社(JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州)や大手私鉄などの鉄道会社はこれに属します。

 

京都駅に到着するJR西日本の普通列車(2019年6月)

 

第二種鉄道事業とは、線路を保有せずに自社が敷設した線路以外の線路を使用し、鉄道事業を行う形態をいいます。たとえば、JRグループの中でもJR貨物第二種鉄道事業となります。JR貨物の営業路線のほとんどはJR各社(JR北海道、JR東日本、JR東海、JR西日本、JR四国、JR九州)の線路を借用し、鉄道事業を行っています。たとえば、トロッコ嵯峨駅とトロッコ亀岡駅を結ぶ嵯峨野観光鉄道第二種鉄道事業者となります。嵯峨野観光鉄道はもともと山陰本線の線路でしたが、山陰本線新線が敷設されたため、不要となった旧線を利用してトロッコ列車を運行しています。現在でも旧線はJR西日本が保有しているため、嵯峨野観光鉄道第二種鉄道事業となります。

 

安治川口駅のディーゼル機関車(2016年10月)

 

線路のみを所有し、車両を所有する鉄道会社に自らの線路の上を走行させてあげる形態の鉄道事業者第三種鉄道事業といいます。たとえば、北近畿タンゴ鉄道(運行:京都丹後鉄道/宮津線・宮福線)、中之島高速鉄道(運行:京阪電気鉄道中之島線)、西大阪高速鉄道(運行:阪神電気鉄道阪神なんば線)、大阪外環状鉄道(運行:JR西日本/おおさか東線)、関西高速鉄道(運行:JR西日本/JR東西線)などがこれに属します。

 

京都丹後鉄道の列車(2018年4月)

 

その他の鉄道事業者の種類としては索道事業、特定目的鉄道事業があります。索道とはいわゆる「ロープウェー」などのことであり、空中に渡したロープに吊り下げた運搬器具に人や物をのせて輸送する交通機関のことです。ロープウェーの他、リフトなどもこれに含まれます。ケーブルカーは鋼索鉄道であり、これには属しません。また、特定目的鉄道事業は2000年(平成12年)の鉄道事業法改正で新たに設置された区分であり、法律によると、「景観の鑑賞、遊戯施設への移動その他の観光の目的を有する旅客の運送を専ら行うもの」とされています。2009年(平成21年)に門司港レトロ観光線が初めてこの区分の適用を受けています。

 

石清水八幡宮参道ケーブルの旧男山山上駅(2019年8月)

 

すなわち、神戸高速鉄道は第三種鉄道事業者なので、線路は所有しているが車両は保有していないということになります。神戸高速鉄道の所有する線路を走るのは他の鉄道会社の車両です。


東西線と南北線

神戸高速鉄道は1968年(昭和43年)に東西線と南北線を開通しています。東西線高速神戸駅阪急神戸三宮駅および西代駅山陽電気鉄道)と元町駅阪神電気鉄道)を結び、南北線は東西線の途中に設置された新開地駅湊川駅神戸電鉄)を結ぶ路線です。

 

神戸高速鉄道路線図

東西線および南北線開通以前に、神戸市内に乗り入れていた京阪神急行電鉄(現在の阪急電鉄)、阪神電気鉄道神戸電気鉄道(現在の神戸電鉄)、山陽電気鉄道はそれぞれ別々の場所にそのターミナルを設置していました。

 

新開地駅に到着する阪急電車の車両(2019年2月)

 

そのため、神戸市街地における移動や私鉄間の乗り継ぎについては、当時の国鉄や神戸市電などを利用しなければなりませんでした。

 

新開地駅に到着する阪神電車の車両(2019年2月)

 

そこで、神戸市電の高速化および大量輸送を実現してその利便性を向上するために、1958年(昭和33年)に神戸市とこの4社が出資して神戸高速鉄道を設立するに至ります。

 

新開地駅に到着する山陽電車の車両(2019年2月)

 

また、神戸高速鉄道は2002年(平成14年)、北神急行電鉄より北神線を譲渡され、これの第三種鉄道事業者となりました。その後、北神急行電鉄は第二種鉄道事業者となって列車の運行を担ってきましたが、2020年(令和2年)に北神急行電鉄が第二種鉄道事業を、神戸高速鉄道が第三種鉄道事業を神戸市に譲渡し、神戸市営地下鉄北神線となりました。


新開地駅

新開地駅は1968年(昭和43年)に神戸高速鉄道の開通と同時に開業しました。

 

新開地駅ホーム(2019年2月)

 

車両を保有しない神戸高速鉄道が所有する駅ということになります。

 

新開地駅ホーム(2019年2月)

 

新開地は戦前から栄えたまちであり、昭和30年代半ば頃まで神戸の中心的な市街地であり、「東の浅草、西の新開地」とも謳われました。

 

新開地駅の駅名標(2019年2月)

新開地駅の地下1階には神戸電鉄のりばがあり、地下2階に阪急阪神のりばがあります。


高速神戸駅と湊川神社

JR神戸駅のバスのりばより少し歩くと、多聞通をはさんで湊川神社が見えます。

 

多聞通の向こう側に見える湊川神社(2019年4月)

 

多聞通の地下には神戸高速鉄道線が走っており、ちょうどこの辺りには高速神戸駅があります。

 

 

湊川神社楠木正成が祭られる神社であり「楠公(なんこう)さん」ともよばれています。

高速神戸駅出口すぐの場所に湊川神社がある(2019年4月)

湊川神社(2019年4月)