特急「踊り子」の歴史と伊豆箱根鉄道

東京駅に停車する「スーパービュー踊り子」251系(2018年9月)


特急「踊り子」の歴史

特急「踊り子」は、JR東日本・伊豆急行・JR東海・伊豆箱根鉄道が運行する特急列車です。東海道本線伊東線伊豆急行線伊豆箱根鉄道駿豆線経由で、東京・新宿・池袋~伊豆急下田・修善寺間を結んでいます。特急「踊り子」の運行が開始されたのは1981年(昭和56年)であり、当時、特急「あまぎ」と急行「伊豆」が統合されて「踊り子」となりました。

東京駅に停車する「スーパービュー踊り子」251系(2018年9月)

この路線における優等列車の先駆けとなったのは、1928年(昭和3年)より東京~熱海間で運行されるようになった準急列車でした。当時は、休日運転のみであり、東京~熱海間を2時間5分で運行していました。その後、スピードアップを実現した他、1938年(昭和13年)に伊東線が開通すると、東京~伊東間を運行する列車が設定されるようになりました。

戦時中は運行できませんでしたが、1949年(昭和24年)に準急列車が再登場し、東京~伊東・修善寺間の運行を開始しています。準急列車の愛称を「いでゆ」「いこい」としたのもこの頃のことです。

さらに、1950年(昭和25年)には週末限定運転の準急「あまぎ」が東京~伊東・修善寺間を結ぶようになり、これに80系電車(愛称「湘南電車」)が投入されました。準急「あまぎ」は東京~熱海間を1時間29分で結ぶようになり湘南特急とよばれました。1953年(昭和28年)になると、「あまぎ」は毎日運転されるようになり、その愛称を「伊豆」と変更しています。このとき、廃止となった列車名「あまぎ」は翌年に新設された新宿~熱海間の準急列車の愛称として復活しています。その後も、準急列車は「十国」(東京~熱海間)、「おくいず」(東京~伊東間)、「たちばな」(東京品川~熱海間)、「湘南日光」(日光~伊東間)などが新設されました。

昭和30年代になると、準急「伊豆」は急行列車に昇格して157系が充てられるようになります。さらに昭和40年代になると、新宿~熱海間の準急列車の名称として1961年(昭和36年)に廃止されていた「あまぎ」の名称が東京発着の列車に復活するとともに、急行列車は「伊豆」、不定期準急は「いでゆ」「湘南日光」となります。しかし、1966年(昭和41年)には「あまぎ」「いでゆ」「湘南日光」が急行列車に格上げされ、「伊豆」を含めて急行列車が乱立してしまいます。

1968年(昭和43年)にはこれを整理統合して急行列車は「伊豆」「おくいず」となり、翌年「あまぎ」の名は特急列車として復活します。その後しばらくはこの体制が続きますが、1976年(昭和51年)になると急行「おくいず」急行「伊豆」に吸収されました。その際に、特急「あまぎ」157系から183系へと変更されています。


「踊り子」の使用車両

1981年(昭和56年)、特急「あまぎ」急行「伊豆」が統合され、特急「踊り子」が誕生します。デビュー当時は183系に加えて、急行「伊豆」で先に使用されていた185系が投入され、1985年(昭和60年)に185系へと一本化されました。1990年(平成2年)になると、251系による「スーパービュー踊り子」が運行されるようになり、その後は185系251系による運行が定着するようになりました。

185系は1999年(平成11年)に一度塗色が変更されましたが、2011年(平成23年)より上部から下部へ車体中央に斜めのグリーンストライプが走る伝統的な塗色へともどされています。251系は観光列車仕様となっており、2階建て車両、ハイデッカー車両、展望席、個室グリーン車、サロン室なども導入されています。

1988年(昭和63年)には伊豆急行2100系「リゾート21」を使用した「リゾート踊り子」が運行を開始しましたが、2016年(平成28年)に運行を終了しています。成田エクスプレスに使用されるE259系による「マリンエクスプレス踊り子」が2012年(平成24年)以後、臨時列車として運行される例も見られます。