1.梅小路蒸気機関車館の閉館 2.扇形車庫と転車台
京都鉄道博物館の扇形車庫(2019年1月)
梅小路蒸気機関車館の閉館
京都市にあった日本唯一の蒸気機関車専門博物館「梅小路蒸気機関車館」は2015年(平成27年)に閉館しました。2016年(平成28年)には京都鉄道博物館としてリニューアルオープンしています。
梅小路蒸気機関車館閉館記念切符
さて、梅小路蒸気機関車館は1972年(昭和47年)に鉄道開業100周年を記念して開館したものです。開館当時、全国から蒸気機関車が集められ、その動態保存を目的として「SLスチーム号」の運行が行われた他、扇形車庫ではさまざまな蒸気機関車が展示されました。
梅小路蒸気機関車館閉館記念切符に掲載された館内案内図
扇形車庫と転車台
蒸気機関車専門博物館建設の計画時には、小山機関区(栃木県)がその有力候補地となっていました。しかしながら、日本で初めての蒸気機関車の動態保存を目的とした博物館にこだわったため、大型の蒸気機関車の保守実績にすぐれた梅小路機関区に建設されることになりました。
梅小路蒸気機関車館扇子のおみやげ
館内には旧二条駅舎を利用した資料展示館と、転車台を中心とした扇形車庫を擁した機関車展示館がありました。
京都鉄道博物館に保存される旧二条駅舎(2019年1月)
扇形車庫は国の重要文化財となった他、土木学会選奨土木遺産に認定されています。
京都鉄道博物館の扇形車庫(2019年1月)
土木学会選奨土木遺産は、歴史的土木構造物の保存に資することを目的として2000年(平成12年)に認定制度が設立されたものです。梅小路機関車庫は2004年(平成16年)に選奨されていますが、その際に1914年(大正3年)の設置以来、日本の近代化と復興・成長を支えた蒸気機関車の歴史を伝え、動態保存された世界最大級の蒸気機関庫と評されています。
京都鉄道博物館の転車台(2019年1月)
蒸気機関車を管理するためには、車庫の他、検修機械、給炭、給水、給砂、転車台、電力などの設備と事務所などが必要となります。1914年(大正3年)に完成した機関車庫は当時、京都駅2代目駅舎の完成に合わせて設置されたものです。
「梅小路蒸気機関車庫」の文字が見える(2019年1月)
車庫は鉄筋コンクリート造りであり、転車台を中央に置き、転車台の北側に引込線20線を扇形に設置して機関車が収納できるようになっています。
扇形車庫の引込線(2019年1月)
蒸気機関車の進行方向を変えるには、機関車の向きを変えるための転車台が必要でした。かつては駅の多くには転車台が設置されていましたが、時が流れて電気機関車やディーゼル機関車に取って代わられ蒸気機関車がだんだんと消えていく中で転車台も姿を消していき、扇形車庫もなくなっていきました。
梅小路のSLたち硬券セット
給水設備も必要となりますが、敷地内の扇形車庫の近くには給水塔も見えます。ただし、この給水塔は梅小路機関区が全盛期の際には見られなかったもののようです。
給水塔(2019年1月)
蒸気機関車用の車庫には蒸気機関車の煙を排出させるための煙突が必要となります。必然的に蒸気機関車は煙突位置に合わせて停車することになります。
扇形車庫内の煙突(2019年1月)
現存する扇形車庫は少なく、梅小路蒸気機関車館を引き継いだ京都鉄道博物館の他、津山まなびの鉄道館にある津山扇形機関車庫〔岡山県〕、米子駅に隣接する後藤総合車両所運用検修センター〔鳥取県〕などとなります。