地下鉄中央線・けいはんな線の歴史

地下鉄中央線の高井田駅ホーム(2019年2月)

1.地下鉄中央線の歴史
2.けいはんな線の歴史
3.架線集電方式

▼地下鉄中央線(コスモスクエア~長田間)・けいはんな線(長田~学研奈良登美ヶ丘間)

∇コスモスクエア
∇大阪港
∇朝潮橋
∇弁天町
∇九条
∇阿波座
∇本町
∇堺筋本町
∇谷町四丁目
∇森ノ宮
∇緑橋
∇深江橋
∇高井田
∇長田
∇荒本
∇吉田
∇新石切
∇生駒
∇白庭台
∇学研北生駒
∇学研奈良登美ヶ丘


地下鉄中央線の歴史

大阪市高速電気軌道(Osaka Metoro/オオサカ メトロ)が運行する中央線(正式名称「高速電気軌道第4号線」)はコスモスクエア~長田間を結ぶ地下鉄線です。地下鉄中央線のラインカラーは緑色(スペクトリウムグリーン)ですが、これは大阪城公園の木々の緑をイメージしているといいます。

高井田駅ホームに映えるスペクトリウムグリーン(2019年2月)

大阪市高速電気軌道(Osaka Metoro/オオサカ メトロ)の前身となる大阪市営地下鉄が4号線(後の中央線)を開業したのは1961年(昭和36年)のことであり、御堂筋線、四つ橋線に次いで3線目となりました。このときの開業区間は大阪港~弁天町間3.1キロのみでしたが、この区間は大阪市交通局にとって初めて建設した高架鉄道となりました。

その後、1964年(昭和39年)には弁天町~本町(仮駅)間、1967年(昭和42年)には谷町四丁目~森ノ宮間が開業しました。この時点で本町~谷町四丁目間は開通しておらず、4号線は谷町四丁目~森ノ宮間の東部分と弁天町~本町間の西部分に分かれて運行されていました。さらに、1968年(昭和43年)には森ノ宮~深江橋間が開業し、1969年(昭和44年)には本町(本駅)が完成すると同時に船場センタービルも建設されています。これと同年、本町~谷町四丁目間が開通して大阪港~深江橋間の線路がつながり、4号線の愛称が「中央線」に決定しています。

1985年(昭和60年)になると深江橋~長田間が開業し、大阪市営地下鉄は初めて東大阪市へと入りました。1986年(昭和61年)には当時の近鉄東大阪線(現在のけいはんな線)の長田~生駒間が開業し、大阪港~生駒間において相互直通運転が開始されるようになります。

1997年(平成9年)にはOTSテクノポート線(現在の中央線の一部)の大阪港~コスモスクエア間が開業し相互直通運転を実施し、コスモスクエア~長田間(現在の中央線全区間)が全通となります。2005年(平成17年)にOTSテクノポート線(現在の中央線の一部)中央線に編入されて中央線の一部となり、それまでOTSという別会社として運行されてきた中ふ頭~コスモスクエア~大阪港間が大阪市へと移管されることになりました。これにより、OTS管轄であった路線の運賃が値下げされました。


けいはんな線の歴史

けいはんな線長田~学研奈良登美ヶ丘間を結ぶ路線であり、1986年(昭和61年)に長田~生駒間が「東大阪線」として開業しました。2000年(平成12年)には、東大阪線の延伸となる生駒~学研奈良登美ヶ丘間において「京阪奈新線」として着工します。

地下鉄高井田駅を出発する近鉄電車の車両(2019年2月)

2005年(平成17年)には、東大阪線京阪奈新線の路線名を「けいはんな線」とし、地下鉄中央線との統一愛称を「ゆめはんな」としました。2006年(平成18年)に延伸部分が開業し、けいはんな線として長田~学研奈良登美ヶ丘間の営業を開始しました。

地下鉄高井田駅を出発する近鉄電車の車両(2019年2月)


架線集電方式

近畿日本鉄道(近鉄電車)では、2025年に開かれる国際博覧会(万博)の会場となる夢洲(ゆめしま)と奈良を結ぶ直通特急を運行することを検討しているといいます。夢洲は大阪市此花区にある人工島であり、地下鉄中央線コスモスクエア駅のある咲洲(さきしま)から見て北西に位置します。

夢洲への交通機関としては、地下鉄中央線JRゆめ咲線(桜島線)中之島線京阪電気鉄道)などを延伸する計画があります。このうち、地下鉄中央線の延伸が実現すれば、近鉄奈良駅から奈良線、けいはんな線、地下鉄中央線を経由して夢洲へ至るというルートが確保できるということになります。

しかしながら、近畿日本鉄道(近鉄電車)にとっては集電方式の違いという一つの課題が残ります。地下鉄では第三軌条方式とよばれる集電方式を採用しています。この方式では、走行用のレールの他に給電用レールを設置し、車輪に取り付けた集電靴を通して車両の下部より電気を取り込みます。一方、近畿日本鉄道(近鉄電車)の路線では架線集電方式を採用しています。この方式では、車両の天井に取り付けたパンタグラフ(集電装置)を通して、車両の上部の電線から電気を取り込みます。地下鉄中央線はもちろん第三軌条方式であったため、近畿日本鉄道(近鉄電車)ではけいはんな線を敷設する際に相互直通運転を実現するためにこれを第三軌条方式としました。

現在において奈良線は他の近畿日本鉄道(近鉄電車)の路線と同じく架線集電方式であるため、奈良線とけいはんな線のそれぞれのホームがある生駒駅付近に2つの線を結ぶ渡り線を設置した上で、2つの集電方式に対応できる車両を開発して、この課題をクリアする計画であるといいます。