仙台駅で交差する東西線・南北線とC60形蒸気機関車

投稿者: | 2018-11-26

1.「森の都」から「杜の都」へ 2.仙台市地下鉄 3.国際センター駅 4.大町西公園駅 5.荒井駅

 

 


「森の都」から「杜の都」へ

仙台は「杜の都」として知られていますが、明治時代には「森の都」として紹介されていました。戦国時代に、豊臣秀吉の命により伊達政宗は国替えをさせられました。石高を減少させられた伊達政宗は、家臣たちを養うために植林を奨励して、屋敷の庭に実のなる木々を植えさせました。また当時、この木々が風や雪を防いだり、防火の役目を果たしたりしました。このころに植林した木々が大きくなり、仙台は「杜の都」として発展してきたといいます。

 

虹のかかる仙台駅(2016年12月)

 

仙台市は現在、人口100万人を超える東北地方最大の都市となっています。「杜の都」の中心となる仙台駅は1887年(明治20年)に日本鉄道の駅として開業しています。このとき、上野~塩竈(後の塩釜埠頭)間が開通し、上野駅から仙台駅までは12時間20分かかったといいます。

 

 

仙台駅の常磐線案内表示板(2017年1月)

 

現在の仙台駅には、新幹線の他、東北本線、仙山線、仙石線、常磐線、仙石東北ライン、仙台空港アクセス線などが乗り入れています。また、仙台市内を南北に縦断する地下鉄南北線と東西に横断する地下鉄東西線がここで交差します。

 

仙台駅の常磐線案内表示板(2017年1月)


仙台市地下鉄

仙台市地下鉄は南北線と東西線の2路線があり、仙台市交通局がこれを運営しています。1987年(昭和62年)に南北線の富沢~八乙女間が開業した後、1992年(平成4年)に八乙女~泉中央間が開業しています。2000年(平成12年)には仙石線が地下化されて開業し、そのあおば通り駅と南北線仙台駅が接続されています。

 

東西線2000系の試運転(2017年7月)

 

東西線は2013年(平成25年)に正式名称が決定し、2015年(平成27年)に八木山動物公園~荒井間が開業されました。東西線のラインカラーは水色であり、その車両は仙台市交通局2000系が使用されています。


国際センター駅

国際センター駅は地上2階・地下1階の地上駅舎を有する駅であり、その駅舎上部は「青葉の風テラス」となっています。「青葉の風テラス」は多目的スペースや芝生が広がる屋外テラスからなる施設であり、休憩場所として利用される他、展示会やミニコンサート、ワークショップなどさまざまなイベントに利用されています。

 

屋外テラスから見える地下鉄車両(2017年8月)


大町西公園駅

大町西公園駅からすぐの場所に西公園がありますが、西公園は1875年(明治8年)に開園した仙台で最も歴史ある公園です。そして、この西公園にはC60形蒸気機関車が保存されています。

 

西公園に保存されるC60形蒸気機関車(2019年9月)

 

この蒸気機関車はもともと1942年(昭和17年)にC59形(27号機)として製造されたものであり、当時、東海道本線山陽本線で活躍しました。C59形蒸気機関車は、特急列車用のC53形蒸気機関車(通称「シゴサン」)にも劣らない性能をもつ急行用列車として1941年(昭和16年)より173両が製造されました。C53形蒸気機関車(通称「シゴサン」)は、当時の鉄道省がアメリカから輸入したC52形蒸気機関車を研究の上、製造された3シリンダー型のテンダー式蒸気機関車でした。また、C59形蒸気機関車の軸重を軽くして2級線にでも入線できるように改造されたものがC60形蒸気機関車です。C60形蒸気機関車は1953年(昭和28年)~1961年(昭和36年)にかけて47両が製造されました。

 

西公園に保存されるC60形蒸気機関車(2019年9月)

西公園に保存されるC60形蒸気機関車(2019年9月)

 

その後、1953年(昭和28年)にC60形に改造された1号機「C601」となり、1968年(昭和43年)まで東北本線奥羽本線で再び活躍しました。現在では、西公園にあるC601が国内に現存する唯一のC60形蒸気機関車となっています。

 

西公園に保存されるC60形蒸気機関車(2019年9月)

 

仙台市には明治30年代に築造された煉瓦造りの下水道管が3か所残っています。西公園のC60形蒸気機関車の近くの地下空間にはその1つがあります。この場所に埋設される下水道管は1900年(明治33年)に整備されたものであり、「日本の近代上水道の父」「近代衛生工学の父」とよばれる仙台市出身の中島鋭治によって設計されたものです。この下水道管は全国で初めて降雨量と地形の勾配を論理的に算定して設計されていた他、多くの先進的な取り組みが行われました。

 

煉瓦造りの下水道管(2019年9月)

 

江戸時代、伊達政宗が建設した四ツ谷用水の排水機能によって仙台のまちは衛生状態が保たれていましたが、明治時代になると馬車鉄道にとって不便な水路が埋められてしまい、衛生状態が悪化しました。仙台市はこうした問題を解決するために、下水道事業に着手していくことになります。この煉瓦下水道は2010年(平成22年)、土木遺産に認定されています。


荒井駅

東西線の終点となる荒井駅の建設には2009年(平成21年)に着工しますが、東日本大震災により荒井駅建設予定地が被害を受けたため、すべての地下鉄工事が一時中断しました。

 

荒井駅周辺の風景(2017年9月)

 

その後工事が再開し、2015年(平成27年)に荒井駅は完成しています。

 

荒井駅(2017年9月)

荒井駅周辺の風景(2017年9月)

 

駅舎完成と同時に、1階交流スペースに「せんだい3.11メモリアル交流館」が開館し、翌年には2階に展示室が完成して全館オープンとなりました。

 

せんだい3.11メモリアル交流館(2017年9月)