東武鉄道の歴史と東上鉄道合併

投稿者: | 2018-09-04

『絵本で旅する、東武鉄道のむかし』

1987年(昭和62年)に発売された東武鉄道90周年記念乗車券には『テンダーじいさんのきっぷ』という小さな絵本が付いています。この絵本には『絵本で旅する、東武鉄道のむかし』というサブタイトルが付いています。

東武鉄道90周年記念乗車券

サブタイトル『絵本で旅する、東武鉄道のむかし』の通り、その内容には東武鉄道のあゆみについて書かれています。東武鉄道は1897年(明治30年)にその歴史がはじまり、その翌年にはイギリスから最初の蒸気機関車を輸入したということです。絵本ではその蒸気機関車が語ります。

「わしがイギリスからやってきて、東武鉄道ではたらきだしたのは明治32年。まだ、きみもきみのおとうさんも生まれてないころでな……」

絵本『テンダーじいさんのきっぷ』

この機関車はベイヤー・ピーコック社製の機関車であり、そのスタイルが好評でした。この機関車がタイトルにある「テンダーじいさん」ということになります。テンダーじいさんの話によると、東武鉄道の電車第1号「デハ1形」が走ったすぐ後に東上本線(東上線)が開通しています。

東武のいちばん最初の電車だよ。まあ、わしのむすこみたいなもんさ。そういえば、彼が生まれたすぐ後だったなあ、東上線ができたのは。」

「生まれたのは明治44年。はじめは東武とは別の会社でな、仲間になったのは、大正9年さ。」

東武東上線を走る車両(2020年9月)

2012年(平成24年)から「東武スカイツリーライン」という愛称が付された伊勢崎線のターミナルは浅草駅です。テンダーじいさんによると、昔は「浅草」という駅名ではなかったようです。

「できたてのころは浅草雷門という名前でね。浅草と呼ばれるようになるのはもっとあとなんだ。」

絵本の裏表紙

さらに、テンダーじいさんによると駅にエスカレーターが付いたのも、浅草駅が日本初ということです。東武スカイツリーラインの起点となる浅草駅は東武線の他、東京メトロ,都営地下鉄の乗換駅となっています。東武浅草駅はもともと1931年(昭和6年)に「浅草雷門駅」として開業し、1945年(昭和20年)に「浅草駅」と改称しています。

浅草駅(2022年3月)

絵本の表紙の裏には記念乗車券が3枚付いています。「草加ゆき」の切符には主幹制御器用逆転ハンドルと制動弁ハンドル、「曳舟ゆき」の切符には3種類の制帽(駅長用、助役用、駅務・乗務員用)、「久喜ゆき」の切符には改札開鋏(かいきょう)が描かれています。

3種類の記念乗車券

主幹制御器用逆転ハンドルは運転席で電車の前進と後進に使用し、乗務が終わるとこれを取り外し、次の運転士に手渡します。制動弁ハンドルは電車のブレーキ調整を担います。これも乗務が終了すると取り外され、次の運転士へとバトンタッチされます。制帽については、駅長用には金のラインが2本、助役用には1本入っています。改札開鋏は切符を切るためのハサミです。駅によってその切り口の形が異なります。


東上本線

「東武東上線」こと東上本線は池袋~寄居間を結ぶ路線です。

志木駅(2020年8月)

1911年(明治44年)に東上鉄道が設立され、1914年(大正3年)に池袋~田面沢間が開通し、池袋,下板橋,膝折(現在の朝霞),志木,鶴瀬,上福岡,川越町(現在の川越市),田面沢の9駅を設置しました。

朝霞台駅駅名標(2020年8月)

1916年(大正5年)には川越町(現在の川越市)~田面沢間を廃止し、田面沢駅も廃止となりました。また同年、川越町(現在の川越市)~坂戸町(現在の坂戸)間を開業しています。

池袋駅に停車する準急「川越市ゆき」の車両(2020年6月)

1920年(大正9年)に東武鉄道と東上鉄道が合併した後、路線延伸や新駅開業および駅名改称が続きます。1943年(昭和18年)には越生鉄道(坂戸~越生間)を買収し「越生線」となりました。

東武東上線を走る車両(2020年9月)

1987年(昭和62年)には地下鉄有楽町線との相互直通運転を開始し、2008年(平成20年)になると地下鉄副都心線との相互直通運転を開始しました。また、2013年(平成25年)には地下鉄副都心線を経由して東急東横線・横浜高速鉄道みなとみらい線との相互直通運転を開始しています。

上板橋駅駅名標(2020年9月)