つくばエクスプレス[首都圏新都市鉄道]

投稿者: | 2021-06-26

つくばエクスプレス

首都圏新都市鉄道は、建設以前には「常磐新線」とよばれたつくばエクスプレスを運行する鉄道会社です。正式路線名は建設以前の名称である「常磐新線」となっていますが、ホームや車内などの列車案内上ではまったく使用されておらず、「つくばエクスプレス」と呼称されています。

TX-3000系(2020年3月)

1991年(平成3年)に首都圏新都市鉄道が設立され、2005年(平成17年)に秋葉原~つくば間58.3キロを開業しています。全区間の内訳を見ると、東京都13.2キロ(千代田区・台東区・荒川区・足立区)、埼玉県7.4キロ(八潮市・三郷市)、千葉県13.5キロ(流山市・柏市)、茨城県24.2キロ(守谷市・つくばみらい市・つくば市)となっています。

北千住駅から出発するつくばエクスプレス「秋葉原行き」(2022年3月)

全区間において時速130キロの高速運転を実現し、最速列車はこれを45分で結びます。東京都心とつくばを直線でつないでいる他、全区間が高架線または地下鉄線(全区間58.3キロのうち地下区間は16.3キロ)となっていて踏切がないことが大きな理由となっています。

北千住駅(2022年2月)

つくばエクスプレスの始点となる秋葉原駅ホームは地下深い場所にあります。たとえば、JR線からつくばエクスプレスに乗る場合、何度となくエスカレーターの乗り換えを余儀なくされ、本当にホームに着くのだろうかと感じるくらい地下深くへともぐっていかなければなりません。

秋葉原駅駅名標(2019年4月)

鉄道のレール幅のことを軌間とよんでいますが、日本の場合にはその幅1,435ミリの標準軌と1,067ミリの狭軌が主流となっています。つくばエクスプレスの場合には狭軌を採用しており、JRの在来線や地下鉄の多くの路線、首都圏の多くの私鉄と同じ軌間となっています。標準軌を採用しているのは、新幹線、東京メトロ銀座線、東京メトロ丸ノ内線、都営大江戸線、都営浅草線、京浜急行電鉄、京成電鉄などとなっています。

TX&関鉄自由帳(非売品)


筑波高速度電気鉄道(筑波高速)

1923年(大正12年)に東京の有力者たちのグループが東京と茨城を結ぶ鉄道敷設の許可を申請しますが、翌年に却下されてしまいます。しかし、その後再度申請をして1928年(昭和3年)に日暮里~筑波山間を結ぶ鉄道敷設免許を取得しました。

秋葉原駅に停車する区間快速「つくば行き」(2019年4月)

これを受けて筑波高速度電気鉄道(筑波高速)を設立し、1929年(昭和4年)には上野~日暮里間の鉄道敷設免許も取得しました。この路線は現在のつくばエクスプレスのルートと類似していますが、上野,日暮里,八幡,彦成,早稲田,流山,田中,守谷,小張,谷田部,葛城,大穂,新北条,筑波山14駅の設置を予定しており、1時間30分でこれを結び、1日24往復の運行を想定していたといいます。

つくば駅の地上(2018年8月)

さらには、梅島(東京都足立区)付近から分岐して松戸へと延びる支線も計画しており、1929年(昭和4年)に松戸支線の鉄道敷設免許も取得しています。

東京スカイツリーライン梅島駅(2022年6月)

当時の鉄道省の調査においてもこうした路線の敷設における効果が高く評価されていました。しかしながら、新設路線の近くを走る筑波鉄道および流山鉄道(現在の流鉄)への影響が懸念されるということから、その免許取得には両社から合併や買収が求められた際には拒否することができないとの条件が付されました。

流鉄流山線の車両(2020年8月)

当時の筑波高速度電気鉄道(筑波高速)は全線を電化して高速列車を運行する予定にしていましたが、地磁気観測所(茨城県石岡市)の存在が鉄道敷設にあたっての障害となります。令和時代を迎えた現在においても、石岡市の気象庁地磁気観測所は地球磁気・地球電気に関する観測を実施しています。直流電気を流すと磁場が発生するため、磁気を測定する場所の付近ではその観測に悪影響を及ぼします。

つくば駅に停車するつくばエクスプレスの車両(2019年10月)

そこで、実験上の制約により人為的な電流を流すことを避けなければならないとの立場から、当時の逓信省は電気事業経営に関する申請を行った筑波高速度電気鉄道(筑波高速)に対して、谷田部以北での免許を認めませんでした。これにより、流山~筑波山間の路線敷設が暗礁に乗り上げてしまうことになります。

つくば駅に停車する「秋葉原行き」(2018年8月)

この問題については、筑波高速度電気鉄道(筑波高速)のみの問題ではなく、土浦~谷田部間の路線敷設を予定していた常南電気鉄道や、水戸~石岡間の路線敷設を予定していた水戸電気鉄道についても大きくのしかかってくることになります。

車両に描かれるTXのシンボルマーク(2018年8月)

結果的に問題の解決には至らず、筑波高速度電気鉄道(筑波高速)は京成電気軌道(現在の京成電鉄)に吸収されることになります。現在の京成電鉄のターミナル駅となる京成上野駅は筑波高速度電気鉄道(筑波高速)の遺産ともいえます。後に京成電鉄はこの免許を使用して1931年(昭和6年)に青砥~日暮里間、1933年(昭和8年)に日暮里~上野間を開通させています。一方、茨城方面への免許は失効しています。

京成日暮里駅ホーム(2022年5月)


交直流電車TX-3000系

後に国鉄は常磐線の電化工事に着手し、1961年(昭和36年)から上野~勝田間での電車運転を実現しています。先の地磁気観測所の問題を解決するために、取手以北については交流電化としています。

我孫子駅に停車する常磐線の車両(2021年6月)

直流電流を流すと磁場が発生してその観測に悪影響を及ぼすということから、国鉄はこのような対策をとったということになります。国鉄は取手以北を交流電化としたため、都心から取手以北へ行くためには交直流電車が必要となります。しかしながら、交直流電車は高価であることから、国鉄にとっては常磐線による輸送力増強が結果的に遅れてしまうことになりました。

交直流電車TX-3000系(2021年10月)

この地磁気観測所の問題はつくばエクスプレスの建設にも持ち越されることになります。つくばエクスプレスにおいても、みらい平駅(茨城県つくばみらい市)以南は直流電化(直流1500ボルト)、みらい平駅(茨城県つくばみらい市)以北は交流電化(交流20キロボルト)となっています。

新型車両TX-3000系ロングシートの透明仕切板(2020年3月)

実際に、つくばエクスプレスに乗車して守谷~みらい平間を走行しているとき、車内の路線図の表示灯が一瞬停止してしまう場所があります。この区間に交流・直流の切り替えのデッドセクションが置かれているため、このような現象が起こることになります。ただ、最近の車両はデッドセクションを通過しても、あまりそうしたことを感じないことがほとんどです。

TX-2000系セミクロスシート(2017年8月)

つくばエクスプレスでは合理化と省力化によりワンマン運転を実現していますが、このワンマン運転に加えて、自動列車制御装置(ATC)・自動列車運転装置(ATO)を備える高性能車両および最先端の基盤整備により高速運転を達成することができているといえます。

つくば駅に停車するつくばエクスプレスの車両(2019年10月)

自動列車制御装置(ATC)は、列車の衝突や脱線事故を未然に防いで運転を安全にサポートする装置のことであり、線路の曲線や勾配および先行列車との距離などの情報を常に受信し、列車が定められた速度を超過した場合には自動的にブレーキが作動することにより、安全を保ちます。

新型車両TX-3000系の車内(2020年3月)

自動列車運転装置(ATO)は、乗務員が乗降客の確認を実施した後、ドア操作により車両ドアと可動式ホーム柵を閉じると、乗務員は運転席の出発ボタンを操作します。これにより、次の停車駅まで定められた運転パターンにしたがって、列車の発進、加速、減速、停止について自動運転を行います。複数の列車種別をもち、時速130キロの高速運転を行う線区でATO運転を採用したのは、つくばエクスプレスが日本で初めてということになります。

つくばエクスプレス守谷止最終電車(2016年12月)


TX-1000系,TX-2000系とTX-3000系

2005年(平成17年)の開業当初より運行する車両にはTX-1000系とTX-2000系があります。TX-1000系直流電車となっており、先の地磁気観測所の問題があるために秋葉原~守谷間の走行に限定されます。車両前面のガラスはV字形をしていて、高速走行を実現する列車の雰囲気を醸し出しています。車両番号を表す色は青色となっています。

TX-1000系(2021年6月)

TX-2000系秋葉原~つくば全区間を走行できる交直流電車となっています。外観はほとんどTX-1000系と同じですが、パンタグラフが1両あたりTX-1000系は3か所、TX-2000系は4か所となっています。また、車両番号を表す色は赤色となっています。

TX-2000系(2018年8月)
 

TX-2000系のうち2008年(平成20年)以降に製造された車両は車両前面にも赤い帯が付されています。TX-2000系秋葉原つくば間の長距離運転となるため、中間車両にはセミクロスシートが設けられている車両があります。

TX-2000系セミクロスシート(2017年8月)

また、TX-2000系にはクロスシート以外にもロングシートの車両も連結されています。車両の長手方向に配置された座席をロングシートといい、この座席の場合は車両の左右側窓を背にして座ることになります。都市部の通勤車両や地下鉄の車両、車幅の狭い路面電車などに採用されています。

TX-2000系ロングシート(2018年8月)

TX-3000系は2020年(令和2年)に登場した交直流電車であり、これまでの車両で用いられてた赤色と青色が配色されています。

TX-3000系(2020年3月)

TX-1000系およびTX-2000系よりも車両前面のガラスの傾斜を急にし、ライトの形も細長形へと変化させており、より高速運転をする実現する車両のイメージを醸し出しています。

TX-3000系の優先席付近の様子(2020年3月)


新御徒町駅

新御徒町駅駅名標(2020年6月)


南千住駅

一方、千住大橋の南側の南千住駅が開業したのも、北千住駅と同じ1896年(明治29年)のことでした。

 

つくばエクスプレス線北千住駅(2022年3月)

 

これも日本鉄道土浦線の駅として開業しました。1961年(昭和36年)には日比谷線、2005年(平成17年)にはつくばエクスプレス線が開業しました。

 

つくばエクスプレス線南千住駅(2019年1月)

南千住駅に到着するつくばエクスプレスの車両(2019年1月)

 

この南千住駅付近と先の北千住駅付近をまとめて「千住宿」となりますが、千住宿は江戸四宿(ししゅく)の1つとして栄えました。

 

つくばエクスプレス線南千住駅(2019年1月)

 

江戸四宿とは、五街道のそれぞれにおいて日本橋に最も近い宿場町のことをさし、千住宿の他、板橋宿(中山道)、内藤新宿(甲州街道)、品川宿(東海道)がこれになります。

 

つくばエクスプレス線南千住駅(2019年1月)


青井駅

青井駅は2005年(平成17年)に開業し、各駅停車のみ停車します。

青井駅駅名標(2021年4月)


六町駅

六町(ろくちょう)駅はつくばエクスプレス開業当時、各駅停車のみの停車駅でしたが、2012年(平成24)年に通勤快速が新設されてその停車駅となりました。また、2020年(令和2年)には平日朝ラッシュ時間帯の秋葉原方面に限って、区間快速の停車駅となっています。

六町駅駅名標(2022年11月)


八潮駅

八潮駅駅名標(2021年11月)
 


三郷中央駅

三郷中央駅(2021年11月)


南流山駅

南流山駅駅名標(2022年6月)


流山おおたかの森駅

駅周辺地域にはオオタカが多く生息し、森が残されていたことから「流山おおたかの森」駅と名付けられました。

TX流山おおたかの森駅名標(2022年6月)

流山おおたかの森駅は2005年(平成17年)につくばエクスプレス開通と同時に開業し、東武アーバンパークラインと乗り換えが可能となるように、東武鉄道においても新たに駅を建設しました。

東武鉄道/流山おおたかの森駅(2022年4月)
 

流山市は2018年(平成30年)、国が作成する絶滅のおそれのある野生動物の種のリストで「準絶滅危惧」に指定されるオオタカを市の鳥に制定しました。

TX流山おおたかの森駅(2022年2月)
 

オオタカは全長が50センチメートル程度であるため、その名は大きさから名づけられたものではありません。羽の色が少し青っぽいグレーであることから「アオタカ」が語源となります。

TX流山おおたかの森駅前ショッピングセンター(2022年2月)


柏たなか駅

駅名は周辺の旧村名「田中村」に由来し、「柏たなか駅」として開業したのは2005年(平成17年)です。柏たなか駅には各駅停車のみ停車します。

柏たなか駅駅名標(2021年10月)

柏たなか駅駅名標(2021年10月)


守谷駅

茨城県自然博物館は日本最大級の自然博物館です。その本館建物内ではさまざまな展示を見られる他、その野外に広がる実際の自然とのふれあいを通じて、人と自然との関わりや共生の大切さを学ぶことができる施設です。

茨城県自然博物館正面口(2021年10月)

その敷地は15.8ヘクタールにも及び、東京ドーム約3.4個分となります。茨城県自然博物館は坂東市に所在しますが、守谷駅(つくばエクスプレス/関東鉄道)または愛宕駅(東武アーバンパークライン)よりアクセスすることができます。

つくばエクスプレス守谷駅(2020年7月)

守谷駅からは関東鉄道バス「岩井バスターミナル行き」にて自然博物館入口下車(バス所要時間約30分)徒歩約10分となります。バスは1日に3~4本しかありませんが、関東鉄道バスでは1DAYパス(大人500円・小人250円でバス往復と博物館団体料金で入館)を販売しています。愛宕駅からは茨城急行バス「岩井車庫行き」にて自然博物館入口下車(バス所要時間約15分)徒歩約15分となります(バスは1時間に1本程度)。

茨城県自然博物館特別展「苔ワールド」(2021年10月)

2021年(令和3年)、茨城県坂東市にある「ミュージアムパーク茨城県自然博物館」では東京2020オリンピック聖火リレーが実施されました。聖火ランナーとともに坂東市内の中学生20人が坂東市内を走り、東京2020オリンピックの機運を盛り上げました。茨城県自然博物館にはこの内容を記述した碑が立てられています。

東京2020オリンピック聖火リレー(2021年10月)

茨城県自然博物館は菅生沼の西に建てられた本館と野外施設より成ります。菅生沼は茨城県坂東市と常総市の境界にあり、その広さは南北約5000メートル、東西約200~500メートルの細長い形をした沼です。菅生沼には江川、飯沼川、東仁連川(ひがしにれかわ)という3つの川が流れ込んでおり、菅生沼を経て利根川へと注ぎます。

茨城県自然博物館の敷地内案内図(2021年10月)

反町堤を境として、北側を上沼、南側を下沼とよばれます。菅生沼に生息する生物の種はきわめて豊富ですが、特に鳥類はコハクチョウやカモ,カワセミ,ウグイス,ツグミなどの豊富な種が飛来します。

茨城県自然博物館特別展「苔ワールド」(2021年10月)


万博記念公園駅

万博記念公園駅とまったく同じ名前の駅が大阪モノレールにも存在します。大阪のこの場所では1970年(昭和45年)に大阪万博が開催され、そのシンボルとなる「太陽の塔」を大阪モノレールの車窓からのぞむことができます。この「太陽の塔」を制作したのは芸術家の岡本太郎ですが、つくばエクスプレスの万博記念公園駅東口にも岡本太郎制作による「未来を視る」のモニュメントが設置されています。

万博記念公園駅名標(2017年8月)


研究学園駅

研究学園駅から徒歩約30分(車で約10分)の場所には地図と測量の科学館(国土地理院)があります。地図と測量の科学館は1996年(平成8年)に開館した施設であり、地図や測量に関する展示を行っています。

地図と測量の科学館(2020年8月)

建物内には常設展示室と特別展示室があり、特別展示室では企画展が年に7回ほど開催されます。展示室以外にオリエンテーションルームや情報サービス館,売店などがあります。

企画展「地図から読む防災」(2020年8月)

また、屋外には測量用航空機「くにかぜ」が展示されています。

測量用航空機「くにかぜ」(2020年8月)


つくば駅

つくば市は茨城県南部に位置する市であり、1960年代から筑波研究学園都市として開発されてきましたが、それ以前は筑波のまちは田畑が広がる見渡す限りの田園地帯でした。

遊食伊太利庵「藤右エ門」(2020年9月)

首都・東京の過密が問題となり首都機能の一部を筑波山麓へと移転させるというプロジェクトが1963年(昭和38年)よりスタートしました。当初の移転先候補地は筑波山麓,那須高原,富士山麓の3か所でしたが、最終的に筑波山麓に決定しました。

コート・ダジュールのお菓子(2022年4月)

新たに開発された研究学園都市を広く知らしめる狙いとして、1985年(昭和60年)に国際科学技術博覧会(通称「科学万博」「つくば万博」など)が開催され、世界に「科学のまち、世界のTUKUBA」がアピールされました。

つくば饅頭(2018年8月)

当然ながら当時は、つくばエクスプレスは開業しておらず、「つくば万博」の窓口となったのは常磐線の牛久駅~荒川沖駅間に臨時駅として設置された万博中央駅でした。

牛久大仏(2021年11月)

万博終了後、万博中央駅は廃止となりましたが、その跡地に1998年(平成10年)、「ひたち野うしく駅」として復活を果たしています。

筑波実験植物園/クレマチス(2023年5月)

つくば市は1987年(昭和62年)、谷田部町,大穂町,豊里町,桜村の3町1村が合併してつくば市が誕生しました。その後、筑波町,茎崎町を編入して現在の市域となっています。その中心地は2005年(平成17年)につくばエクスプレスが開業して以来つくば駅となっています。

つくば駅駅名標(2018年8月)

つくば駅茨城県内で初めての、そして茨城県内唯一の地下駅となっています。

つくば駅への入口(2018年8月)

つくば駅開業に先立ち、1985年(昭和60年)には現在のつくば駅の場所に周辺の路線バスの発着地となる「つくばセンター」が交通の拠点として設置されています。つくば駅開業後も路線バスの停留所名は「つくばセンター」と称されています。

筑波山口バスターミナルに掲示されるバス運行路線図(2017年8月)

つくば駅の駅ビル的な存在が「つくばクレオスクエア」でしたが、運営会社が変わり2021年(令和3年)に「トナリエつくばスクエア」としてリニューアルオープンしました。

トナリエつくばスクエア(2021年6月)

この「駅ビル」の中核店舗となっていた西武百貨店とイオンはすでに閉店しており、現在の「つくばクレオスクエア」はCREO(クレオ)、MOG(モグ)、Q’t(キュート)の3部分からなっています。

正面:CREO/右:MOG/左:Q’t(2021年6月)

つくば駅のA2出口を出ると、つくば中央公園があります。園内には緑が多くあり、休日をのんびり過ごすにはとても素敵な公園です。広場では、さまざまなイベントが行われることもあります。

つくば中央公園(2019年11月)

公園には、さくら民家園,水の広場,市民ギャラリー,図書館,美術館,つくばエクスポセンターが隣接します。さくら民家園には、旧桜村にあった伝統的古民家を移築し、納屋などが一般公開されています。

さくら民家園(2020年2月)

水の広場は噴水を中心として、深さ約10センチの水遊び場があります。レストハウスの一角は市民ギャラリーとなっていて、文化・芸術活動に利用されます。

ライトアップされるエクスポセンター(2019年12月)

文化会館アルスは、講演会や映画会・コンサートなどに利用される多目的ホール「アルスホール」やつくば市立中央図書館,茨城県つくば美術館,ミュージアムショップ,カフェからなります。

つくばエクスポセンター(2019年11月)

つくばエキスポセンターは1985年(昭和60年)に開催された国際科学技術博覧会(科学万博―つくば’85)を記念する恒久施設として建設されたものです。博覧会終了後、科学館としてオープンし、プラネタリウムがある他、屋外施設としてH-Ⅱロケット実物大模型が展示されています。

 H-Ⅱロケット実物大模型(2019年11月)

つくば駅A1出口より、つくば中央公園を抜けて、徒歩15分ほどの場所に松見公園があります。松見公園内には栓抜きのような形をした展望塔があります。展望塔は高さ45メートルあり、筑波山やつくばの町並みなど360度のパノラマが楽しめます。

松見公園(2022年4月)

松見公園は1976年(昭和51年)に開園した公園であり、日本庭園の美しさをもつ回遊式庭園があります。池を泳ぐ多数の鯉には園内で販売しているエサをあげることもできます。

松見公園の池(2022年4月)

松見公園内には桜の木もあり、春には花見を楽しむこともできます。

園内の枝垂れ桜(2022年4月)

つくば市内の駅としてはかつて「筑波駅」がありましたが、その筑波駅とつくばエクスプレスのつくば駅の所在地は大きく離れています。筑波駅は筑波山の麓にあった筑波鉄道の駅であり、1987年(昭和62年)に廃止となっています。

筑波駅跡(2017年8月)

筑波実験植物園は、国立科学博物館が植物の研究のために設置しました。7000種以上の植物が育てられていて、3000種の植物を見ることができます。

園内になる植物の実(2021年12月)

筑波実験植物園へは、つくばセンター(つくばエクスプレス「つくば駅」)より路線バスでアクセスすることができます。

Tsukuba Botanical Garden(2021年12月)

つくバス「北部シャトル」(つくばセンター3番のりば)に乗車して「天久保(筑波実験植物園)」下車徒歩約3分、関東鉄道バス「筑波大学循環左回りコース」(つくばセンター6番のりば)に乗車して「天久保2丁目」下車徒歩約8分、関東鉄道バス「テクノパーク大穂」行き(つくばセンター5番のりば)に乗車して「筑波実験植物園前」下車徒歩3分となります。

園内の池に架かる「つくばね橋」(2021年12月)

「テクノパーク大穂」行きは1日に数本しか便がなく、休日の運行はありません。その他は1時間に1本~3本程度の運行となっています。

園内に入って正面入口を振り返る(2021年12月)

つくば駅から歩いて行く場合には、筑波実験植物園までの距離が2キロ以上ありますので、30分ほどかかってしまいます。

紅葉する木々(2021年12月)

園内の広さは約14万平方キロメートルと巨大な敷地があり、屋外には主に中部日本の植物が植えられています。また、世界の熱帯や乾燥地、熱帯雨林などの植物などを植栽する施設もあります。

フジツツジ(2021年12月)

標本庫には150万点以上の標本を収蔵しますが、こちらは一般には非公開となっています。

国立科学博物館「自然史標本棟」(2021年12月)

さまざまな植物が見ることができるにもかかわらず、入場料はたったの320円(高校生は無料)です。リピーターズパスというものがあり、これは年会費1,500円で1年間に何度でも入館することできるというものです。

正面入口にある教育棟(2021年12月)

教育棟の建物は植物園のエントランスとなっていて、ミュージアムショップなどがあります。

正面入口にある教育棟(2021年12月)

ここではガイドブックや絵葉書、植物に関する書籍やグッズなどを販売しています。

教育棟横プロムナード(2021年12月)

園内に入ると、教育棟に近い区画は「生命を支える多様性区」となっていて、衣食住、鑑賞などの生活に欠かせない植物を見ることができます。

ツワブキ(2021年12月)

温帯資源植物,筑波山の植物,シダ植物,絶滅危惧植物などが見られる他、クレマチス園もあります。その奥にある池には水生植物が見られ、池には「つくばね橋」という橋が架けられ、あずまやも設けられています。

つくばね橋と(左奥)あずまや(2021年12月)

さらに、奥の区画へ進むと「世界の生態区」となっていて、標本庫などの建物がある区画には水生植物温室,熱帯雨林温室,サバンナ温室,熱帯資源植物温室などがあります。

熱帯資源植物温室(2021年12月)

アマゾンユリ(2021年12月)

温室内の植物たち(2021年12月)

屋外には日本の暖温帯~冷温帯の植物を見ることができます。常緑広葉樹林,温帯性針葉樹林,暖温帯落葉広葉樹林,令温帯落葉広葉樹林,低木林(高地性/低地性),砂礫地植物(山地性/海岸性),山地草原(高地性/低地性),岩礫地植物(山地性/海岸性)などのように細かく区分けされています。

パンパスグラス(2021年12月)

つくば駅から東へ徒歩15分ほどの場所には、交通をテーマとしたさくら交通公園があります。園内には、蒸気機関車D51やオランダ・アムステルダム駅舎をアレンジした煉瓦造りの駅舎、1969年式の国鉄ハイウェイ・バス、貸し自転車やゴーカートなどがあります。

さくら交通公園駐車場入り口(2018年8月)

さくら交通公園には駐車場が併設されていますので車でアクセスすることもできますが、車で行く場合には、駐車場の入り口が大きな通り(土浦学園線)に面していないので注意が必要です。

少し古くなった入口の案内図(2018年8月)

駐車場の入り口から入ると、オランダ・アムステルダム駅舎をアレンジした煉瓦造りのクラシカルな建物が迎えてくれます。

公園内にある煉瓦造りの駅舎(2018年8月)

この駅舎風の建物は公園の管理事務所となっています。この建物のモデルとなったアムステルダム中央駅は、当時のオランダの著名な建築家であるP.J.H.カイペルスとA.L.ファン・ゲントによって設計されたものです。P.J.H.カイペルスはアムステルダム国立美術館も設計しています。

公園内にある煉瓦造りの駅舎(2018年8月)

辰野金吾の設計による東京駅丸の内駅舎は、このアムステルダム中央駅駅舎を模したという説もあります。2006年(平成18年)には東京駅とアムステルダム中央駅は姉妹駅となっています。

公園内にある煉瓦造りの駅舎(2018年8月)

園内には自転車,三輪車やゴーカートがあり、この煉瓦造りの建物内にはそれらを貸し出すための受付が設けられています。

自転車置き場(2018年8月)

園内には信号や道路標識,横断歩道などがあるので、これらの乗り物を利用して園内を走行することにより、交通ルールが覚えることができるようになっています。

ゴーカート置き場(2018年8月)

公園内のアムステルダム駅舎のすぐ横には、蒸気機関車D51が保存されています。園内に保存される蒸気機関車D51は「D51-70号」ですが、これは日立製作所で製造された蒸気機関車であり、1937年(昭和12年)に完成したものです。

園内に保存されるD51-70号(2018年8月)

駅舎の横にD51の後ろ姿が見える(2018年8月)

当初D51-70号」は岡山機関区に配属されて、山陽本線の姫路と広島の間を走っていましたが、1950年(昭和25年)に北海道に転籍し、五稜郭,小樽築港,追分などの機関区で1975年(昭和50年)まで活躍していました。

公園内にあるホームの駅名表示板(2018年8月)

その間に走った距離は287万8164キロにもなりますが、地球から月までの距離が約38万キロなので、月まで3往復してまた月まで行くことができるという途方もない距離を走ったことになります。

園内に保存されるD51-70号(2018年8月)

かつて戦争により貨物輸送の需要が増えたため、D51形蒸気機関車のようなD型機関車が数多く製造されました。第二次世界大戦が終了すると、貨物輸送の需要が減少したためD型機関車の多くは運行されずに待機することになってしまいました。

園内に保存されるD51-70号(2018年8月)

一方で貨物輸送に対して旅客輸送は増大することになり、旅客用蒸気機関車の不足を補うためにD51形蒸気機関車のボイラーにC57形蒸気機関車の走行装置を取り付けて、新たにC61形蒸気機関車を製造しています。C61形蒸気機関車は1947年(昭和22年)~1949年(昭和24年)にかけて33両製造されたものであり、「D–C改造」の最初の機種となりました。これに次いで、D62形蒸気機関車はC62形蒸気機関車へと「D–C改造」されました。

蒸気機関車の進行方向にある踏切(2018年8月)

園内には蒸気機関車の他に古いバスも保存されています。駐車場からもそのバスの姿を見ることができます。

駐車場から見える国鉄東名ハイウェイ・バス(2018年8月)

このバスは国鉄東名ハイウェイ・バス(ドリーム号/747・9901号車)です。

国鉄東名ハイウェイ・バスの案内板(2018年8月)

このバスは国鉄が東名高速道路用として設計し、第1号車として日野自動車が製造したものです。

園内に保存される国鉄東名ハイウェイ・バス(2018年8月)

1969年(昭和44年)に完成し、1977年(昭和52年)まで東名高速道路と名神高速道路を走っていました。

園内に保存される国鉄東名ハイウェイ・バス(2018年8月)

その間に走った距離は137万4021キロになります。この距離は、地球を1周するとおよそ4万キロになりますから、34回位回ったことになります。

国鉄の文字が見える(2018年8月)