両毛鉄道
4世紀~5世紀頃、群馬県と栃木県は「毛野国(けぬのくに)」とよばれました。その後、毛野国は上毛野(かみつけの)と下野(しもつけの)に分かれましたが、これが現在の群馬県と栃木県になり、両毛地域とよばれるようになりました。
栃木駅構内のからくり時計(2024年5月)
両毛鉄道は1887年(明治20年)に設立された鉄道会社です。
栃木駅に停車する両毛線の車両(2024年5月)
両毛地域の生糸や絹織物の輸送のため、1888年(明治21年)に小山~桐生間、翌年に桐生~前橋間(小山—思川—栃木—大平下—岩舟—佐野—富田—あしかがフラワーパーク—足利—山前—小俣—桐生—岩宿—国定—伊勢崎—駒形—前橋大島—前橋—新前橋—井野—高崎問屋町—高崎)を開通しています。
両毛線小山駅ホーム(2024年5月)
東京駅に停車する185系(2017年8月)
「あかぎ」の歴史
国鉄のシンボルであるツバメの英語表記「swallow」と、日本語の「座席に座ろう」という言葉を列車名にしたのが「スワローあかぎ」です。「スワローあかぎ」は上野・新宿~熊谷・本庄・高崎・前橋を平日に限定して結ぶ特急であり、山手線,東北本線,高崎線,上越線,両毛線を経由して運行している列車です。土休日は列車名を「あかぎ」としています。
「スワローあかぎ」の「スワローサービス」(2017年8月)
1982年(昭和57年)のダイヤ改正により185系200番台が投入されると、急行「あかぎ」(上野~前橋)は特急へと格上げとなりました。以前の165系のまま小山駅へ乗り入れる列車は急行「はるな」とされ、と特急「あかぎ」とは分離されました。
東京駅に停車する185系(2017年8月)
1985年(昭和60年)に上越新幹線が上野駅に乗り入れを開始すると、急行「はるな」は廃止され、「あかぎ」は「新特急あかぎ」と愛称が設定され、気軽に乗れる特急へとスタイルを変えることになりました。その後、「新特急さわやかあかぎ」「新特急ウィークエンドあかぎ」などが登場したこともありましたが、2002年(平成14年)には「新特急」の愛称は姿を消しました。2014年(平成26年)になると、「あかぎ」の一部に651系が使用されるようになり、平日の通勤時間帯には「スワローあかぎ」が設定され着席サービスが強化されることとなりました。
小山駅
両毛線の起点となる小山駅は1885年(明治18年)、日本鉄道の駅として開業しました。1888年(明治21年)には両毛鉄道が開業し、現在の両毛線も乗り入れることになりました。
両毛線小山駅駅名標(2024年5月)
栃木駅
とちぎ花センターへは、栃木駅南口より「ふれあいバス(栃木市コミュニティバス)岩舟線(東回り)」に乗車し、「とちぎ花センター前」で下車します。乗車時間は約30分です。
とちぎ花センター(2022年10月)
このバスは途中、岩舟駅にも停車しますので、ここからバスに乗車すれば約10分ほどで「とちぎ花センター前」に到着します。
とちぎ花センター(2022年10月)
また、無料駐車場が充実していますので、車でアクセスすることもできます。東北自動車道の佐野・藤岡インターから約3.5キロ(約5分)です。
とちぎ花センターポスター(2022年10月)
とちぎ花センター園内にある「とちはなちゃんドーム(鑑賞大温室)」は一棟建ての温室としては国内最大級となります。
とちはなちゃんドーム/鑑賞大温室(2022年10月)
熱帯や亜熱帯の花が見られ、世界三大珍植物のキソウテンガイやヒスイ色の花を咲かせるヒスイカズラなどの珍しい植物を見ることもできます。「とちはなちゃんドーム(鑑賞大温室)」の入場料は410円(小人200円)です。
園内の花木(2022年10月)
大温室以外の園内施設としては大花壇やバラ園,フラワー館などがありますが、こうした施設では数多くの花木が育てられており、さまざまな植物を見ることができます。
浦和レッドダイヤモンズ(2022年10月)
大温室の名前にもなっている「とちはなちゃん」は、とちぎ花センター開園20周年(2012年/平成24年)を記念して誕生したキャラクターであり、「大花壇に舞い降りてきた花の妖精」とされています。
みかも山公園側の入口付近(2022年10月)
大花壇は6枚の花びらをイメージして作られたものですが、約3万株もの花が植えられています。
大花壇(2022年10月)
バラ園にもさまざまなバラが植えられ、約450種のバラを見ることができます。
大温室横ホール棟の玄関口(2022年10月)
とちぎ花センターに隣接する「みかも山公園」は栃木県最大の都市公園です。この公園は万葉集にも詠まれた三毳山(みかもやま)を利用して整備された公園で、園内にはコナラやクヌギなどの広葉樹林がある他、山野草が自生します。
三毳山(2022年10月)
とちぎ花センターの駐車場は「とちぎ花センター管理棟」の北側駐車場となりますが、「みかも山公園」の東口駐車場からも「とちぎ花センター」へと入場することができます。
みかも山公園東口駐車場(2022年10月)
みかも山公園の園内にはフラワートレインが走っています。
フラワートレイン「アジサイ号」(2022年10月)
コスモス号,キスゲ号,カタクリ号,アジサイ号の4両の列車が東口のりば,南口のりば,西口のりばとわんばく広場のりば、万葉庭園のりばを結びます。
フラワートレイン「チケット売場」(2022年10月)
とちぎ花センターのすぐ前には「いわふねフルーツパーク」があります。
いわふねフルーツパーク(2022年10月)
いわふねフルーツパークには農産物直売所やジェラートとお弁当の店舗などがある他、いちご狩りやぶどう狩りなどの果実の摘み取り体験ができます。
横断歩道を渡ると「とちぎ花センター」へ(2022年10月)
あしかがフラワーパーク駅
あしかがフラワーパークは栃木県足利市にある花のテーマパークです。
あしかがフラワーパークイルミネーション(2020年10月)
花の種類が少なくなる晩秋から冬にかけては、夜にイルミネーションイベントが開催されます。
あしかがフラワーパークイルミネーション(2020年10月)
あしかがフラワーパークへの最寄り駅は、JR両毛線のあしかがフラワーパーク駅となります。
あしかがフラワーパーク駅(2020年10月)
駅から徒歩3分ほどであしかがフラワーパークに到着します。
あしかがフラワーパーク正面入口(2020年10月)
あしかがフラワーパーク駅は2018年(平成30年)に開業した駅であり、栃木県内では35年ぶりにJR新駅の開業となりました。
あしかがフラワーパーク駅(2020年10月)
また、駐車料金無料の大型駐車場もあります。
あしかがフラワーパークイルミネーション(2020年10月)
足利市にはかつて樹齢130年といわれる、その幹回り3メートル60センチ、棚面積60平米もある藤棚がありました。この藤はもともと1968年(昭和43年)に開園した早川農園で「250畳の大藤」として知られていたものです。
奇蹟の大藤(2020年10月)
1991年(平成3年)になると、その藤があった当時の町の再開発のため移植せざるを得なくなってしまいました。ところが、幹が1メートル以上の藤の移植例はこれまでありませんでした。
あしかがフラワーパークイルミネーション(2020年10月)
その後、移植のための研究が行われ、1994年(平成6年)になってようやく大藤の移植の準備がはじまりました。
ライトアップされる大藤(2020年10月)
藤の幹はやわらかく、もろいため、移植の作業は極めて困難な作業でしたが、のべ2千人が協力したことにより、1996年(平成8年)に移植が成功しました。そして、この藤のある場所が1997年(平成9年)にあしかがフラワーパークとして開業しました。
あしかがフラワーパーク正面入口(2020年10月)
開業時には、庭木仕立ての藤25本が左右に植えられて造作されました。それ以来、この藤はこの場所で「奇跡の大藤」として人気を博しています。現在ではトンネル仕様としては世界唯一の藤棚として知られています。
ライトアップされる大藤(2020年10月)
冬季に行われるイルミネーションのイベントは「光の花の庭」として毎年開催されています。
あしかがフラワーパークイルミネーション(2020年10月)
足利駅
足利駅も1888年(明治21年)に両毛鉄道の駅として開業し、1897年(明治30年)に日本鉄道の駅となった後、1906年(明治39年)には国有化されています。
足利駅ホーム(2020年10月)
現在の足利駅の駅舎は昭和時代初期に建設された洋風の木造駅舎です。足利駅は1998年(平成10年)の関東の駅百選に選定されています。
足利駅北口改札口(2020年10月)
足利駅南口を出ると、南側には渡良瀬川が流れていますが、足利市はこの渡良瀬川により南北に分かれています。
足利駅南口(2020年10月)
足利駅北口前には「EF60-123形直流電気機関車」が静態保存されています。
EF60-123形電気機関車(2020年10月)
EF60-123形は、国鉄が1960年(昭和35年)に開発した平坦路線向け直流電気機関車です。かつては両毛線において貨物列車の牽引に活躍しました。
EF60-123形電気機関車(2020年10月)
その足利駅より徒歩10分の場所には「日本最古の学校」とよばれる足利学校がありますが、その創設には諸説あります。
足利学校(2020年10月)
一つは奈良時代における国学の遺制であるというもの、一つは832年(天長9年)に小野篁(おののたかむら)が創建したというもの、一つは足利尊氏の祖となる足利義兼(よしかね)が創建したというもの、一つは1439年(永享11年)に関東管領の上杉憲実が建てたというものです。
史跡「足利学校跡」碑(2023年1月)
いずれにせよ、足利学校の歴史について記されているのは室町時代中期以後となります。
孔子像(2020年10月)
足利学校の範囲とその規模についてはその年代により異なりますが、最盛期となる室町時代の遺構は明確ではありません。大正時代に指定史跡となった際、その範囲のうち東半分がすでに小学校となっていて、その範囲では建物が取り壊されてしまっていました。
足利駅(2020年10月)
ところが、近年では整備が進められ、東半分は江戸時代中期頃の様子へと復元されています。
大成殿(2020年10月)
大成殿,杏壇門,学校門,入徳門,稲荷堂の建物,土塁の一部などが現存します。方丈(ほうじょう),庫裡(くり),書院,土蔵,木小屋,衆寮(しゅうりょう),裏門の建物,庭園,堀,土塁などは復原となっています。
学校門(2020年10月)
三門とは入徳門,学校門,杏壇門のことですが、これは江戸時代より受け継がれてきたものです。
入徳門を入ると学校門が見える(2020年10月)
「入徳」とは「徳に入る」の意であり、道徳心を習得する場所(学校)に入るということを示しています。
入徳門(2020年10月)
入徳門は、足利学校への入口ですが、1831年(天保2年)に近隣の火災により類焼し、1840年(天保11年)頃修築されるものの腐朽してしまい、1909年(明治42年)には裏門をここへ移転修築したと伝えられています。
両毛線栃木駅ホーム(2024年5月)
学校門は日本で唯一の「学校」の額が掛けられた門であり、これは1668年(寛文8年)に建てられたものです。足利学校のシンボルとなっています。
学校門(2020年10月)
土蔵は宝暦年間の姿に復元されたものであり、外壁から屋根にかけて土で塗り固めた後、漆喰で仕上げたものです。土蔵は大切なものを格納するものであり、堅牢な耐火建築となっています。
土蔵(2020年10月)
孔子廟は、儒学の祖である孔子を祀る廟です。
孔子廟(2020年10月)
そのうち、大成殿は1668年(寛文8年)に建てられ、正面には孔子坐像、右側には小野篁像を安置しています。孔子坐像は1535(天文4年)に造られた日本最古の孔子彫像です。
大成殿(2020年10月)
杏壇門は1892年(明治25年)に火災で焼失しましたが、1900年(明治33年)に再建されました。
杏壇門(2020年10月)
方丈は儀式や行事に使用される部屋です。庫裡は土間や台所などがあり、日常の生活空間となっていました。書院は接客の場所であり、方丈,庫裡,書院などを廊下でつなぐ建物が主屋となっていました。衆寮は僧房または学生が寄宿する場所です。現在のこれらの建物は宝暦年間の再現となっています。
復原された建物(2020年10月)
方丈の南北には、池がある築山泉水庭があります。
南庭園(2020年10月)
南庭園よりも北庭園の方が格が高く、広さも大きくなっています。
北庭園(2020年10月)
旧足利学校遺蹟図書館は1915年(大正4年)に建設されたものであり、これは足利市重要文化財となっています。
旧足利学校遺蹟図書館(2020年10月)
その屋根は入母屋造桟瓦葺であり、基礎や外壁はレンガ積みをした上で石材および漆喰で仕上げられています。和風の屋根および洋風の外壁,内装の和洋折衷の様式などの意匠的特徴は大正時代の建築物として貴重な存在となっています。
旧足利学校遺蹟図書館(2020年10月)