筑波山の麓をめぐる筑波線の廃線跡

投稿者: | 2021-06-26

1.筑波線 Θ軽便鉄道Θ

 

筑波線(筑波鉄道)路線図〔廃線時〕


筑波線

筑波線筑波山の麓を走る路線であり、かつて土浦~筑波~岩瀬間を結んでいました。

 

筑波山麓(旧上大島駅付近)の町並み(2017年8月)

筑波駅跡(2017年8月)

 

筑波線を開業した筑波鉄道は1914年(大正3年)に設立されましたが、それに先立ち1911年(明治44年)に土浦~岩瀬間を結ぶ軽便鉄道の免許を取得しています。

 

旧筑波駅付近の廃線跡「つくばりんりんロード」(2017年8月)

 

軽便鉄道

一般的な鉄道よりも線路の幅が狭く、小型の車両を使用するような鉄道を軽便鉄道といいます。かつてはわが国にも、主要駅と小さな集落を結ぶ軽便鉄道が数多く存在しました。大正時代には100路線ほど、昭和30年代にも60路線ほど存在しましたが、昭和50年代までにはそのほとんどが廃線となりました。

 

旧筑波駅ホーム(2017年8月)

 

 

筑波山口バスターミナル(2017年8月)

 

軽便鉄道は自動車の普及していなかった時代に荷物の運搬用などとして設置されたものです。普通の鉄道に比べるとレール軌間が狭く、簡易的な鉄道といえます。工事用軌道、森林鉄道、炭鉱鉄道などがその一例となります。

 

筑波山麓(旧上大島駅付近)の町並み(2017年8月)

 

軌間とは、2本のレールにおいて1本のレールともう1本のレールの間のことをさし、レールゲージともいいます。世界的には標準軌間は1,435ミリとなっており、これより広い場合を広軌、狭い場合を狭軌としています。日本の場合は明治時代に1,067ミリが標準軌間とされましたので、これより狭い場合を狭軌とよんでいます。

 

筑波鉄道の旧筑波駅ホーム(2017年8月)

 

当初の計画では真壁を経由して下館へ至る計画でしたが、岩瀬へ至る路線へと変更され、1918年(大正7年)に土浦~筑波真壁岩瀬間が開業しました。

 

旧筑波駅ホーム(2017年8月)

 

筑波鉄道は1945年(昭和20年)、現在の常総線となる路線をかつて運行していた常総鉄道と合併して常総筑波鉄道となります。さらに、1965年(昭和40年)には常総筑波鉄道が鹿島参宮鉄道と合併して関東鉄道となっています。また、関東鉄道は1979年(昭和54年)に筑波鉄道を設立し、筑波線をこれに譲渡しました。

 

そして、1987年(昭和62年)4月1日、国鉄が分割民営化された同日に筑波線全線が廃止となりましたが、この廃止当時の駅数は18駅でした。その18駅は、土浦、新土浦、虫掛、坂田、常陸藤沢、田土部、常陸小田常陸北条筑波、上大島、酒寄、紫尾、常陸桃山、真壁、樺穂、東飯田、雨引岩瀬です。現在では筑波線の廃線跡は自転車道「つくばりんりんロード」として整備されています。

 

筑波休憩所(旧筑波駅)に立つ案内板(2017年8月)

 

さらに、この「つくばりんりんロード」(40キロ)に加えて、霞ヶ浦を周回する湖岸道路140キロ(霞ヶ浦湖岸道路)を合わせて「つくば霞ヶ浦りんりんロード」とよんでいます。

 

筑波駅石碑に記される「つくばりんりんロード」の文字(2017年8月)

旧筑波駅ホーム(2017年8月)