金沢駅の歴史と北陸新幹線の誕生

投稿者: | 2019-02-10

兼六園(2016年9月)
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金沢駅の歴史

金沢駅は1898年(明治31年)、官鉄の北陸線(小松~金沢)の終着駅として開業しました。その後、北陸線(後の北陸本線)が延伸され途中駅となりますが、1913年(大正2年)に北陸本線が全通してからもすべての列車が停車するターミナルであり続けてきました。

輪島朝市弁当(2016年9月)


現在の金沢駅

金沢駅には北陸新幹線北陸本線IRいしかわ鉄道などが乗り入れています。近くには、北陸鉄道北鉄金沢駅もあります。金沢駅は伝統と近代建築が融合した駅舎であり、アメリカの旅行雑誌において「世界でもっとも美しい駅14選」の一つに選ばれています。

東口の正面に見られる鼓門と駅舎の間にはもてなしドームがあり、金沢を訪れる人たちに差し出す雨傘をイメージし、その下では雨に濡れないスペースとなっています。鼓門は巨大な建造物であり、13.7mの高さを誇る2本の柱によって支えられています。これは金沢の伝統芸能である能楽の鼓がモチーフだといいます。また、ガラスのもてなしドームは「おもてなしの心」を表していて、さまざまなイベントが開催されています。


兼六園

加賀藩を築いた前田利家は織田信長、豊臣秀吉に仕え、その信頼を得て1583年(天正11年)、金沢城に入りました。45歳にして一国一城の主となり、加賀藩繁栄を基礎を築いています。日本三名園とは、水戸の偕楽園岡山の後楽園金沢の兼六園をさします。その兼六園は、加賀藩の5代藩主・綱紀のころ築庭が行われるようになり、長い歳月をかけて歴代藩主により形作られてきた大名庭園です。

兼六園(2016年9月)
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九谷焼

九谷焼は1655年(明暦元年)、有田焼を学んだ後藤才治郎が九谷村(石川県加賀市)で開いたのがそのはじまりです。その後、100年ほどで廃窯となりますが、1823年(文政6年)に再興され、明治時代に入ってからは九谷庄三(くたにしょうざ)が知られるようになりました。

九谷焼湯呑み(2018年11月)


消えた長野(行)新幹線

1998年(平成10年)に長野オリンピックが開催されました。スキー・ジャンプでは船木和喜選手、スキー・フリースタイルでは里谷多英選手、スケート・スピードスケートでは清水宏保選手、スケート・ショートトラックでは西谷岳文選手が金メダルを獲得しました。

オリンピックの開催にともない、1997年(平成9年)に北陸新幹線の一部区間である東京~高崎~長野間が開通しました。当時、線路は北陸地方までつながっていなかったため、この新幹線は「長野(行)新幹線」と呼称されていました。この長野(行)新幹線時代の代表的車両が「あさま」として用いられてきたE2系車両です。この車両は2015年(平成27年)にすでに定期列車の運用を終了していましたが、2017年(平成29年)3月31日をもって臨時列車での運用も終了し、完全引退となりました。


北陸新幹線の登場

その後、2015年(平成27年)にこの新幹線は金沢駅まで開通し、案内上の呼称は北陸新幹線と統一されるようになりました。北陸新幹線(高崎~金沢)は東京~大宮間は東北新幹線および上越新幹線と線路を共用し、大宮~高崎間は上越新幹線と線路を共用しています。この開通により、首都圏から北陸地方などへのアクセスが向上しています。

金沢駅に停車するE7系(2016年8月)

北陸新幹線には「かがやき」「はくたか」「つるぎ」「あさま」がありますが、「かがやき」が速達列車となります。「かがやき」は東京~金沢間を結び、主な停車駅は東京上野、大宮、長野、富山、金沢となります。「はくたか」は停車タイプとなり、主に東京~金沢間の各駅に停車します。「つるぎ」は富山~金沢間を往復するシャトルタイプとなります。「あさま」は東京~長野間を往復します。

東京駅に停車するE7系(2018年9月)


北陸新幹線の延伸計画

金沢駅から敦賀駅までの延伸については現在整備が進行中であり、2023年3月の開業を目指しています。北陸新幹線敦賀駅まで延伸されると、大阪駅から金沢駅へ向かう特急「サンダーバード」や名古屋駅から金沢駅へ向かう特急「しらさぎ」は敦賀となり、北陸新幹線と在来線特急については敦賀駅での乗り換えが必要となります。

新幹線敦賀駅は現在の在来線ホームより200m離れた20mほど高い位置に建設される予定です。そのため、現在の在来線ホームに特急が停車する場合、新幹線との乗り換えには時間がかかることが想定されます。そのため、利便性を考慮し、在来線特急ホームは新幹線ホームの下に設置することとなりました。さらに、現在の敦賀駅と新幹線駅を「動く歩道」で結ぶ計画もあるそうです。

敦賀駅で進められる工事(2019年6月)

敦賀駅で進められる工事(2018年4月)


フリーゲージトレイン

フリーゲージトレイン(軌間可変電車/FGT)は電車の軌間を線路の軌間に合わせて変えることのできる車両であり、標準軌(1,435mm)である新幹線と狭軌(1,067mm)である在来線において直通運転を実現するにあたり、国が総額500億円を投入したものです。

これについて2018年(平成30年)、九州新幹線(西九州ルート)検討委員会はフリーゲージトレインの導入は断念すると発表しました。加えて、2012年(平成24年)に北陸新幹線敦賀新大阪間において新線建設ではなく、フリーゲージトレインによる湖西線経由の直通運行を計画していた国土交通省は、JR西日本による「短期的なフリーゲージトレインへの投資判断は選択しない」との回答を受けて、北陸新幹線でのフリーゲージトレインの採用は難しいという見解に至りました。