国分寺線・新宿線[西武鉄道]

投稿者: | 2021-02-23

西武鉄道と国分寺線の歴史

国分寺線(国分寺—恋ヶ窪—鷹の台—小川—東村山)は西武鉄道で最も古い路線であり、かつて存在した鉄道会社の川越鉄道が敷設した路線です。西武鉄道における現在営業中の路線は、特急「ラビュー」の走る池袋線・西武秩父線の他、西武有楽町線,豊島線,狭山線,新宿線,拝島線,多摩湖線,国分寺線,西武園線,多摩川線,山口線の12路線となります。

鷺ノ宮駅に入る各駅停車「本川越行き」(2019年12月)

過去に廃止した路線としては大宮線,おとぎ線,安比奈線、他社に譲渡した路線としては新宿線(西武軌道線),水根貨物線(専用鉄道)があります。

小手指駅に入る各駅停車「池袋行き」(2019年12月)

川越鉄道は1892年(明治25年)に甲武鉄道の関連会社として設立され、1894年(明治27年)に国分寺~久米川(仮駅/現在の東村山)間を開業しました。

新宿線鷺ノ宮駅(2019年12月)

また、1895年(明治28年)には久米川(仮駅/現在の東村山)~川越(現在の本川越)間(現在の新宿線の一部)を開業しています。

国分寺駅に停車する国分寺線の車両(2020年6月)

川越鉄道はその後、1920年(大正9年)には武蔵水電に吸収合併されてしまいます。武蔵水電はもともと、1902年(明治35年)に川越馬車鉄道として設立された会社でしたが馬車鉄道は開業されず、1903年(明治36年)に川越電灯に合併されてしまいます。

国分寺駅に停車する国分寺線の車両(2020年6月)

このとき、社名を川越電気鉄道と改称し、1904年(明治37年)には電気事業者として川越火力発電所の運営をはじめました。鉄道においても、1906年(明治39年)に川越久保町~大宮間を開業し、埼玉県で初めての電車を走らせることになります。

JR国分寺駅ホームから見る西武国分寺駅に到着する国分寺線の車両(2020年6月)

この鉄道は軌道の敷設工事が不十分であったため脱線事故が頻発して営業は振るわなかったものの、電気事業は大きな収益をあげていたといいます。武蔵水電と社名を変更した電気事業は後に帝国電灯に合併されることになりますが、鉄道事業は川越東線(川越久保町~大宮間)とされました。

国分寺駅駅名標(2020年6月)

1922年(大正11年)には武蔵水電の川越東線は新たに設立された武蔵鉄道に分離譲渡されて大宮線と改称されましたが、武蔵鉄道はその社名をすぐに西武鉄道(初代)に変更しています。なお、大宮線は1941年(昭和16年)に廃線となっています。

国分寺駅に停車する多摩湖線「西武遊園地行き」(2020年6月)


新宿線の歴史

川越鉄道を引き継いだ西武鉄道(初代)は1916年(大正5年)に村山軽便鉄道(箱根ヶ崎~吉祥寺間)の免許を譲り受けるなどして、1927年(昭和2年)に東村山~高田馬場駅間をついに村山線として複線・電化路線として開業するに至りました。これと旧川越鉄道の東村山~川越間を結び、東京都心へのアクセスルートを復活させました。この路線は1952年(昭和27年)に「新宿線」と改称されています。

狭山市駅駅名標(2020年6月)

この路線の復活により、国鉄中央本線武蔵野鉄道との輸送競争は激化し、特に所沢駅を共用する武蔵野鉄道とはトラブルが発生することもありました。しかしながら、戦時中に実施された私鉄統合によって西武鉄道(初代)と武蔵野鉄道は合併し、西武農業鉄道となりました。これが後に西武鉄道(2代)と改称し、現在の西武鉄道(2代)となりました。

国分寺駅駅名標(2020年6月)


国分寺駅

現在の西武鉄道における多摩湖線国分寺線は、それぞれ多摩湖鉄道と川越鉄道という別々の会社が敷設した路線です。

多摩湖線国分寺駅(2020年6月)

国分寺駅では西武鉄道という同じ鉄道会社でありながら、多摩湖線は2階ホーム,国分寺線は1階ホームから出発ということになっています。

2階ホームとなる多摩湖線の国分寺駅(2020年6月)

1階ホームとなる国分寺線の国分寺駅(2020年6月)

また、国分寺線を敷設した川越鉄道甲武鉄道の関連会社であったため、当時は国鉄の中央線から国分寺線への直通運転も行われていたといいます。

中央線(JR)国分寺駅(2020年6月)

このように、川越鉄道は川越~東村山~国分寺~(甲武鉄道)~新宿~飯田町(現在は廃止)というルートによって東京都心へのアクセス路線を確立していました。

国分寺駅南口(2020年6月)

ところが、1906年(明治39年)の鉄道国有法により甲武鉄道は国有化され、川越鉄道の東京都心へのアクセスルートは断たれることになりました。


小川駅

小川駅は国分寺駅や東村山駅と並ぶ西武鉄道最古の駅であり、国分寺線の前身となる川越鉄道が1894年(明治27年)に開業したものです。

小川駅駅名標(2020年6月)

現在では国分寺線と拝島線が乗り入れており、1番線は拝島線の萩山・小平・西武新宿方面行き、2番線は国分寺線の東村山方面行き、3番線は国分寺線の国分寺方面行き、4番線は拝島線の拝島方面行きのりばとなっています。

東村山駅駅名標(2020年7月)


拝島駅

拝島駅に停車する西武拝島線の車両(2020年6月)


高田馬場駅

高田馬場駅(2020年8月)


鷺ノ宮駅

鷺ノ宮駅(2021年1月)


武蔵関駅

武蔵関駅(2020年8月)


上石神井駅

上石神井駅(2020年8月)


小平駅

小平駅(2020年11月)


久米川駅

久米川駅(2020年12月)


新所沢駅

新所沢駅(2020年9月)

新所沢駅(2020年10月)


航空公園駅

東京近郊のベッドタウンとして発展した所沢市は、1911年(明治44年)に陸軍が日本で初めての飛行場を設置したことから「航空発祥の地」として知られています。

「日本の航空発祥地所沢」碑(2022年11月)

所沢駅の隣の航空公園駅東口駅前広場には、かつてエアーニッポンで運航していたYS-11(わいえすいちいち)機が保存されています。

航空公園駅に保存されるYS-11(2019年12月)

YS-11は日本航空機製造が製造した戦後初の国産旅客機であり、エアーニッポンは全日空(ANA)の子会社としてかつて存在した航空会社です。このYS-11が保存されているのは所沢航空記念公園(通称:航空公園)の敷地内の一角となります。

所沢航空記念公園内に掲示される公園マップ(2019年12月)

公園の敷地面積は50.2ヘクタールにもおよび、埼玉県内の県営公園としては最大規模を誇ります。1911年(明治44年)に開設した日本初の飛行場となる所沢飛行場の跡地に所沢航空記念公園(通称:航空公園)として整備されています。

航空公園駅駅舎に設置される時計(2020年9月)

現在では、公園内には航空発祥記念館,所沢市立図書館,日本庭園・茶室「彩翔亭」,テニスコート,野球場,フットサル場,ドッグラン,バーベキュー場,野外ステージなどの施設が設置されています。

航空公園駅(2020年7月)

所沢航空記念公園(通称:航空公園」)の最寄りとなるのは航空公園駅です。航空公園駅が開業したのは1987年(昭和62年)のことですが、新宿線の駅としては最も新しい駅となっています。航空公園駅は1998年(平成10年)には関東の駅百選に選定されていますが、その駅舎はアンリ・ファルマン複葉機をイメージしたものであり「航空発祥の地」のシンボルとしてふさわしいということからこれに選定されました。

航空公園駅駅舎(2020年6月)

ちなみに、アンリ・ファルマン複葉機とは日本で初めての試験飛行に使用された機体の一つです。駅舎の中央に設置される大きな時計の針は飛行機を模したものとなっています。