琵琶湖と鉄道連絡船
東海道本線が全通する以前は、大津~長浜間においては琵琶湖上を鉄道連絡船が結んでいました。その当時の大津駅(初代)は現在の大津駅(3代)の場所ではなく、琵琶湖岸に置かれていました。当時の大津駅(初代)は現在では京阪電気鉄道のびわ湖浜大津駅(浜大津駅より改称)となっています。
浜大津駅(現在の「びわ湖浜大津駅」)の駅舎(2018年1月) 
東海道本線敷設にあたっての最後に残った区間となった関ヶ原~馬場(現在の膳所)間が開通すると琵琶湖上の鉄道連絡船は廃止され、大津(初代)~馬場(現在の膳所)間は支線(大津線)となってしまいました。
浜大津駅(現在の「びわ湖浜大津駅」)の駅舎(2018年1月) 
大津線は貨物線となり、大津駅(初代)は浜大津駅(現在のびわ湖浜大津駅)、馬場(ばば)駅は大津駅(2代)と改称されました。馬場駅は1880年(明治13年)に開業した滋賀県内における最古の駅です。所在地は大津市馬場(ばんば)ですが、駅名は「ばば」とされました。大津駅(2代)が馬場駅と改称され貨物駅となりますが、1934年(昭和9年)に膳所(ぜぜ)駅と改称され旅客営業を再開しています。
浜大津駅(現在の「びわ湖浜大津駅」)の柱(2018年3月) 
現在のびわ湖浜大津駅下車徒歩3分の大津港からは琵琶湖汽船の運航する「ミシガン」「ビアンカ」などに乗船することができます。
大津港に停泊する「ビアンカ」(2018年1月)

琵琶湖上の船舶による輸送の歴史を見ると、1882年(明治15年)に琵琶湖上において長距離航路を運航する船会社が合同して太湖汽船(初代)を設立しています。
大津港に停泊する「ビアンカ」(2018年1月)

太湖汽船(初代)は、現在のびわ湖浜大津駅(当時の大津駅)から長浜駅の間に日本初の鉄道連絡船を就航させています。
浜大津駅(現在の「びわ湖浜大津駅」)の駅舎(2018年1月) 
この鉄道連絡船は、1889年(明治22年)に東海道本線が全通するまでの間、東海道の重要な交通路となっていました。東海道本線が全通した後はその需要は減少し、遊覧船事業へと転換していくことになります。
びわ湖浜大津駅から見る大津港(2018年1月) 
太湖汽船(初代)は1929年(昭和4年)、京阪電気鉄道と合併しました。そのうち船舶部門は湖南汽船へと譲渡されて、新たな太湖汽船(2代)となりました。その後、太湖汽船(2代)は琵琶湖汽船と社名を変更しています。
びわ湖浜大津駅から見る大津港(2018年1月)
