池袋線
西武鉄道の池袋線は池袋~飯能~吾野間(池袋—椎名町—東長崎—江古田—桜台—練馬—中村橋—富士見台—練馬高野台—石神井公園—大泉学園—保谷—ひばりヶ丘—東久留米—清瀬—秋津—所沢—西所沢—小手指—狭山ヶ丘—武蔵藤沢—稲荷山公園—入間市—仏子—元加治—飯能—東飯能—高麗—武蔵横手—東吾野—吾野)を結ぶ路線であり、1915年(大正4年)に池袋~飯能間が開通しました。
池袋線の車両(2020年6月)
このとき、設置された駅は東長崎駅,練馬駅,石神井駅(現在の石神井公園駅),保谷駅,東久留米駅,小手指駅(現在の西所沢駅),元狭山駅(現在の狭山ヶ丘駅),豊岡町駅(現在の入間市駅),仏子駅,飯能駅となります。
池袋駅に停車する車両(2020年7月)
当時、池袋線を開通させたのは西武鉄道ではなく武蔵野鉄道です。その際の路線名称は「武蔵野線」とされましたが、このときの「武蔵野線」は現在運行されているJR武蔵野線ではありません。
現在のJR武蔵野線(2019年7月)
武蔵野鉄道
武蔵野鉄道は1912年(明治45年)に設立された鉄道会社です。当時、巣鴨を起点として武蔵野線を敷設する計画でしたが、東京府の指導により池袋駅を起点として路線を建設することになりました。
池袋駅(2020年7月)
武蔵野鉄道は1915年(大正4年)、池袋~飯能間(現在の池袋線の一部)において、現在の西武鉄道第1号となるクラウス社製(ドイツ)の蒸気機関車を走らせています。
池袋駅のホームに到着する特急「ラビュー」(2020年7月)
その後、1922年(大正11年)に池袋~所沢間、1925年(大正14年)に所沢~飯能間を電化します。1928年(昭和8年)には池袋~練馬間を複線化、1929年(昭和4年)に練馬~保谷間を複線化し、飯能~吾野間が開業して全通となりました。1952年(昭和27年)に路線名称を「池袋線」と変更しています。
池袋駅に停車する車両(2020年7月)
武蔵野鉄道は、これに先立って1927年(昭和2年)に現在の西武豊島線(練馬~豊島園間)を開業させています。1929年(昭和4年)には現在の狭山線(西所沢~西武球場前間)も開業させました。しかしその後、武蔵野鉄道は経営難に陥り、箱根土地の堤康次郎がこの株式を取得して武蔵野鉄道の再建に乗り出すことになりました。
西武ライオンズが描かれる車両(2020年11月)
西武秩父線
西武秩父線は吾野(あがの)~西武秩父間(吾野—西吾野—正丸—芦ヶ久保—横瀬—西武秩父)を結ぶ路線であり、池袋線の事実上の延伸区間となっています。
芦ヶ久保駅駅舎(2019年10月)
1969年(昭和44年)には、西武秩父線が開業したため、池袋線・西武秩父線の直通運転を開始し、5000系「レッドアロー」を特急「ちちぶ」として運転を開始しました。
所沢~池袋間特急券(2020年10月)
その後、1989年(平成元年)には秩父鉄道秩父本線、1998年(平成10年)には西武有楽町線を経由して地下鉄有楽町線、2008年(平成20年)には西武有楽町線を経由して地下鉄副都心線、2013年(平成25年)には西武有楽町線・地下鉄副都心線を経由して東急東横線・横浜高速鉄道みなとみらい線への乗り入れをそれぞれ開始しています。
保谷駅に停車する有楽町線の車両(2020年9月)
秩父は埼玉県西部に位置する歴史がある町であり、その中心は四方を山で囲まれた盆地となっています。秩父は武甲山(ぶこうさん)や秩父夜祭で知られており、埼玉県内でも屈指の観光地となっています。秩父盆地の南側にある「秩父の名峰」こと武甲山は日本二百名山のひとつであり、その標高は1,304メートルです。武甲山は石灰岩の山であり、その石灰岩はセメントの材料として削られてきました。昭和30年代には採掘量日本一を記録しています。武甲山の石灰岩で作られたセメントは、高度経済成長期にビルや高速道路の建設に使用されてきました。また、秩父夜祭は毎年12月2日、3日に開催される秩父神社の例大祭であり、ユネスコの無形文化遺産に登録されています。京都祇園祭、飛騨高山祭あるいは長浜曳山祭と並んで日本三大曳山(ひきやま)祭のひとつであり、2基の笠鉾と4基の屋台が秩父市内を曳き廻されます。この歴史ある秩父へは西武秩父線が乗り入れています。
小手指車両基地に停車する特急「ラビュー」(2019年12月)
特急「ラビュー」
西武鉄道では「いままで見たことのない新しい車両」を実現させるために、建築家の妹島和世(せじまかずよ)氏らとともに新たな特急車両として001系を開発しました。10000系「ニューレッドアロー」の後継車両として2019年(平成31年)にデビューした001系は特急「ラビュー」として池袋線・西武秩父線を走ります。
特急「ラビュー」(2020年7月)
001系の愛称「Laview(ラビュー)」とは、「Laview」の「L」は贅沢(Luxury)なリビング(Living)のような空間、「a」は矢(arrow)のような速達性、「view」は大きな窓から移りゆく眺望(view)を意味します。その車両の側面には眺望が楽しめるように縦1.35メートル×横1.58メートルの大型窓ガラスが配されています。
大きな窓がある特急「ラビュー」(2020年7月)
車両前面はその曲線半径が1.5メートルにもなる曲面ガラスを採用し、やわらかな印象を与えます。これに合わせて車両編成全体が自然に連続するように緩いカーブを描いた車体断面となっています。アルミ素材の車体に塗装を施し、線路沿いの風景が車体に映り込むことにも工夫をしています。
池袋駅に停車する特急「ラビュー」(2020年7月)
池袋駅で特急「ラビュー」に乗車するには、特急専用のりばを利用します。
西武鉄道池袋駅「特急のりば」(2020年7月)
001系(ラビュー)は2020年(令和2年)、鉄道友の会によるブルーリボン賞を受賞しています。西武鉄道にとってのブルーリボン賞の受賞は1970年(昭和45年)の初代特急車両5000系(レッドアロー)以来の50年ぶりの受賞となります。
ラビューの車内(2020年10月)
池袋駅
池袋駅(2020年7月)
東長崎駅
東長崎駅は1915年(大正4年)に開業し、現在は西武鉄道池袋線の駅となっています。東長崎駅は開業当時、所在地は長崎村という地名だったが、駅名が「東長崎駅」となったのは長崎県の長崎駅と区別するためであったといいます。
東長崎駅(2019年10月)
練馬駅
練馬駅は1915年(大正4年)に武蔵野鉄道の駅として開業しましたが、1927年(昭和2年)には豊島線(現在の西武豊島線)が開通して発着するようになりました。
練馬駅駅名標(2020年6月)
その後、練馬駅は西武鉄道の池袋線の駅となり、池袋線は1994年(平成6年)、小竹向原駅を経由して地下鉄有楽町線と相互直通運転を開始しています。
練馬駅(2020年6月)
富士見台駅
富士見台駅は1925年(大正14年)に「貫井(ぬくい)駅」として開業しましたが、1933年(昭和8年)に「富士見台駅」と改称しています。
富士見台駅駅名標(2021年2月)
保谷駅
保谷(ほうや)駅は1915年(大正4年)に開業し、現在は1面1線をもつ単式ホームと1面2線をもつ島式ホームがある駅となっています。
保谷駅ホーム(2020年9月)
保谷駅の所在地は西東京市ですが、ホームの東側約3分の1は練馬区となります。
保谷駅(2020年9月)
西東京市は2001年(平成13年)に保谷市と田無市が合併して誕生しました。現在では、八王子市,町田市,府中市,調布市に次いで人口が多い自治体となっています。
保谷駅付近を走行する池袋線の車両(2020年9月)
田無駅も西東京市にある駅ですが、こちらは池袋線ではなく新宿線の駅となります。田無駅は1927年(昭和2年)に開業した駅です。
田無駅(2020年9月)
ひばりヶ丘駅
ひばりが丘駅(2020年10月)
所沢駅
所沢駅(2020年7月)
西所沢駅
西所沢駅(2021年3月)
狭山ヶ丘駅
狭山ヶ丘駅(2020年5月)
入間市駅
入間市駅は1915年(大正4年)に豊岡町(とよおかまち)駅として誕生し、1967年(昭和42年)に入間市駅となりました。
入間市駅前(2019年12月)
飯能駅
飯能駅は1915年(大正4年)に開業しました。現在は、1番線~4番線が島式ホーム2面3線、5番線が単式ホーム1面1線となっていて、他に側線が3線があります。スイッチバック式のホームとなっているため、駅構内は比較的広くなっています。
飯能駅ホーム(2020年9月)
芦ヶ久保駅
芦ヶ久保駅は1969年(昭和44年)に開業した駅であり、1面2線を有する島式ホームをもちます。
芦ヶ久保駅ホーム(2019年10月)
芦ヶ久保駅駅舎(2019年10月)
国道299号線沿いに建設された道の駅果樹公園あしがくぼはこの芦ヶ久保駅に隣接しており、西武秩父線でもアクセスすることが可能です。
芦ヶ久保駅から道の駅へのアクセス(2019年10月)
道の駅果樹公園あしがくぼにはカフェや食堂、農産物直売所などがあります。
道の駅果樹公園あしがくぼ(2019年10月)
周辺には横瀬川が流れる自然豊かな風景を見ることができます。
横瀬川が流れる美しい風景(2019年10月)
駅前に掲示される観光マップ(2019年10月)
秩父線芦ヶ久保駅(2019年10月)
芦ヶ久保駅周辺の美しい風景(2019年10月)
横瀬駅
横瀬駅は1969年(昭和44年)に開業した駅であり、1面2線を有する島式ホームをもちます。また、横瀬駅には車両を留置する側線の他、隣接する横瀬車両基地につながる側線もあります。
横瀬駅ホーム(2019年10月)
1992年(平成4年)より現在の新駅舎の使用を開始しています。
横瀬駅駅舎(2019年10月)
1998年(平成10年)より特急「ちちぶ」の停車駅となっています。秩父鉄道へ直通運転をする列車は横瀬駅にて連結・切り離しを行います。
横瀬駅駅舎(2019年10月)
秩父鉄道の三峰口駅を発着する列車は西武秩父駅に入ってからスイッチバックをしますが、長瀞駅発着列車は西武秩父駅には入らず短絡線を経由して御花畑駅に停車します。
横瀬駅(2019年10月)
秩父鉄道
西武秩父線の終点西武秩父駅の改札を出て駅構内の商業施設を抜けると徒歩5分程度で、御花畑駅に到着します。御花畑駅では秩父鉄道秩父本線に乗り換えることができます。現在の秩父鉄道の魅力の一つは、週末を中心に「パレオエクスプレス」として運行されるC58蒸気機関車です。秩父鉄道は1901年(明治34年)に上武鉄道として運行を開始しました。その後、現在の長瀞駅まで延伸され、多くの観光客を運び続けました。長瀞の中心地には結晶片岩が隆起してできた石畳があり、絶景スポットとなっています。長瀞は昭和初期に選定された日本百景の一つにも数えられている名勝です。