1.鶴見緑地線から長堀鶴見緑地線へ 2.リニアモーター駆動地下鉄 3.大阪ドームと複合駅名 4.谷町六丁目駅 5.玉造駅と三光神社
京セラドーム大阪(2017年7月)
鶴見緑地線から長堀鶴見緑地線へ
長堀鶴見緑地線の沿線となる大阪市東部地区の開発が進み輸送需要が高まったことや、花博の開催が決定しアクセス鉄道の建設が必要となったことから長堀鶴見緑地線の建設を開始することになりました。
長堀鶴見緑地線谷町六丁目駅ホーム(2016年10月)
花博の開催に合わせて開業した京橋~鶴見緑地間は当初「鶴見緑地線」とよばれていました。1996年(平成8年)に心斎橋駅まで延伸を果たし、その後さらなる延伸を計画していたため「長堀鶴見緑地線」と改称しました。1997年(平成9年)になると、西は大正駅まで延伸され、東は鶴見緑地~門真南間が開通して全通となりました。
リニアモーター駆動地下鉄
長堀鶴見緑地線はわが国で初めてのリニアモーター駆動地下鉄として誕生しました。いわゆる「リニアメトロ」は1979年(昭和54年)に調査研究が開始され、1988年(昭和63年)に実用化が実証され、地下鉄鶴見緑地線での採用が決定しています。大阪市では長堀鶴見緑地線の輸送力は中規模程度で対応できると判断し、地下鉄建設費低減のため車両の小型化を目指しました。また、リニアモーター駆動車両を導入するにあたっては経済的であることに加えて、急勾配・急曲線にも対応できるとし、その採用を決定しています。
通常の交流回転型モーターは、回転軸を内側から順に、2次側回転子(ローター)、1次側コイル(ステーター)で包んでいます。リニアモーターでは、この通常のモーターを切り開いて直線状とし、1次側コイル(ステーター)をリニアモーターとして車両側に設置します。2次側回転子(ローター)はリアクションプレートとして2本のレールの間に設置します。このリニアモーターに電流を流すと、進行方向に進む磁石が生じ、リアクションプレートに発生する磁力と引き合い力が生じ、電車が進行します。
その後、リニアメトロは1991年(平成3年)に都営大江戸線、1993年(平成5年)に神戸市営地下鉄海岸線などに採用されています。
神戸市営地下鉄海岸線(2019年4月)
現在では今里筋線(大阪市)、七隈線(福岡市)、グリーンライン(横浜市)にも採用されています。
大阪ドームと複合駅名
長堀鶴見緑地線の終点となる大正駅は1997年(平成9年)に開業していますが、ここから長堀鶴見緑地線を木津川沿いに南進し、南端より西進した後、北上して鶴町へ至るという延伸計画もあります。鶴町は大正区の南西端にある地区ですが、明治時代以降の埋め立てにより開発された地域です。近年ではIKEAや東京インテリアといった大型店舗が建設されています。
大阪ドームは1997年(平成9年)にわが国で3番目のドーム球場として完成しました。当初は大阪近鉄バファローズの本拠地でしたが、2004年(平成16年)に近鉄とオリックスが球団合併してその本拠地球場扱いとなり、2008年(平成20年)にオリックスの本拠地となりました。
京セラドーム大阪(2017年7月)
1997年(平成9年)に長堀鶴見緑地線が心斎橋駅から大正駅まで延伸され、ドーム球場の最寄り駅となる大阪ドーム前千代崎(現在のドーム前千代崎)が開業しました。2006年(平成18年)に球場名が「京セラドーム大阪」に改称されたことにともない、駅名も「ドーム前千代崎」に改称されました。この駅が開業するまでの仮称駅名は大阪市西区にある地名の千代崎でしたが、本駅名は大阪ドーム前千代崎という複合駅名となりました。
複合駅名とは2つ以上の単語または地名から構成された駅名ですが、2つの地区の境などに駅が設置される場合に複合駅名が用いられる場合があります。Osaka Metro(オオサカ メトロ)には大阪ドーム前千代崎以外にも多くの複合駅名があります。御堂筋線の西中島南方、今里筋線の新森古市、関目成育などです。特に谷町線には太子橋今市、千林大宮、関目高殿、野江内代(のえうちんだい)、四天王寺前夕陽ヶ丘、駒川中野、喜連瓜破(きれうりわり)と数多くの複合駅名があります。
ドーム前駅駅名標(2017年7月)
2009年(平成21年)に阪神なんば線が西九条駅から大阪難波駅まで延伸されたことにともない、大阪ドーム最寄りに阪神電気鉄道のドーム前駅が開業しました。ドーム前駅は地下鉄ドーム前千代崎駅と近接していて乗り換えすることができます。ドーム前駅が開業するまでの仮称駅名もドーム前千代崎駅と同じく千代崎でした。
ドーム前駅改札内(2017年7月)
阪神なんば線は近鉄線と直通しており、奈良方面へ行くことができます。
大阪難波・奈良方面のりば(2017年7月)
谷町六丁目駅
谷町六丁目駅は1968年(昭和43年)に谷町線の駅として開業し、1996年(平成8年)に鶴見緑地線(現在の長堀鶴見緑地線)が開通して乗換駅となりました。
長堀鶴見緑地線谷町六丁目駅駅名標(2016年10月)
「谷町」の名は西へ落ち込む上町台地の谷地形に由来しますが、谷町六丁目駅のすぐ近くにはそうした谷地形を表現するかのような大きな段差を見ることができます。
谷町六丁目駅の近くにある観音坂(2019年3月)
玉造駅と三光神社
長堀鶴見緑地線の玉造駅は1996年(平成8年)に京橋~心斎橋間が延伸される際に開業しました。
玉造駅構内「真田幸村」コーナー(2016年10月)
玉造の名は、古墳時代に勾玉などを製作する玉作部(玉造部)がこの地に置かれたことに由来します。
玉造駅構内ポスター(2016年10月)
三光神社は玉造駅からすぐのところにあります。
三光神社(2016年10月)
三光神社は真田幸村の砦だったともいわれる場所であり、境内には「真田の抜け穴」と伝わる洞穴があります。
史蹟「真田の抜穴」(2016年10月)
抜け穴には諸説ありますが、真田幸村が大坂城と真田丸との連絡用に使用したという説もあります。
三光神社での写真撮影スポット(2016年10月)